[内容]
在日中国人社会の多様性を、数多くの取材をもとに解説したルポルタージュ。
[感想]
著者はフリージャーナリスト。
2025年末現在、日本に住む中国人は約90万人で、在日外国人の中では一番人数が
多い。しかし一口に中国人といっても、出稼ぎ・留学・富裕層…など背景は様々で
世代や来日した時期によってもその様相は大きく異なるという。
近年、同胞の増加・経済力の強さ・高学歴・SNSなどの影響により、日本国内で独
自の世界を作り上げているコミュニティが増えているそうで、本書ではその実態と
彼らが何を考えているかが明かされている。
コミュニティには元々様々なタイプがあるが、以下は比較的新しいもの。
◎仕入先、作業、顧客の全てが在日中国人で、日本人抜きの“経済圏”を確立。
◎日本語が話せず日本人との交流も殆ど無く、独自の文化の中でのみ生きる人達。
中国人には独立心が旺盛な人が多く、現在日本には無数の中国系企業があり、上
場企業は少なくとも30~40社に上るそうだ。本書では多くの中国系の会社やグル
ープが紹介されており、中には下記のようなケースも。
・中国人が経営する病院…日本に長く住んでいても、日本語をきちんと学んでいな
い人は多く、母国語で診療してもらえる病院はとても貴重だそう。
・介護福祉施設を買収…既に“中国語OK”という施設もあり、今後更に増えていくと
思われる。
以下に、本書の中で興味深かったものを幾つか抜粋。
◎コロナ禍以降、中国に政治的・経済的リスクを感じて移住する人が増えている。
◎在日中国人の間には、富裕度・学歴・文化レベル・居住地域などによる社会階層
のようなものが存在する。
◎日本に居ても中国の影響を強く受けて生活しており、中国での階層・権威主義を
日本に持ち込んでいる人達もいる。
◎中国大使館と繋がっていれば、優遇される・認められる・中国に帰った時に政治
会議に参列できる等のメリットがあるので、愛国アピールに必死な人達がいる。
子供達の教育も大きな問題だ。小学生の頃から日本の学校に通っていれば日本人の
感覚は分かるが、そうでない場合は日本に馴染めず、進学や就職が難しい場合も。
面白かったのが、次の2つ。
「中国では生まれた場所によって戸籍を分ける不平等な制度があるが、海外に行け
ば戸籍を超えてフラットな状態で知り合うので、結婚に至るケースも少なくない。」
「経済界、芸能界、作家などの文化分野でも日本への移住者は増えており、富裕層
である彼らは移住を公表せず、しばしば海外に出かけて人生を謳歌している。」
以下は著者による在日中国人の未来予測。
・ “新・新華僑” の存在により、これまで日本になかった中国世界が生まれる。
・外国人労働者が増えることにより、これからは日本の不動産を建設するのも買う
のも中国人…という時代がくる。
・今後あらゆる分野で、日本で活躍する若い世代が増えていく。
2025年の在留外国人は400万人近くにのぼり、更に増えると予想されている。中国
以外の国から来た人達の今後も気になるところだ。