ここ何年か米国関係の報道で “ポリコレ忖度” “逆差別” という言葉を頻繁に耳に
するようになった。しかし今年1月に就任したトランプ大統領が、連邦政府のDEI
プログラムを終了する大統領令に署名。これにより、やり過ぎだと言われていた
“多様性”を見直す動きが一気に広がり始めた。
DEIはバイデン政権が少数派の権利向上を目指して推進してきたものだが、実は
23年6月に連邦最高裁が、大学の入学選考において黒人や中南米系などを優遇する
“積極的差別是正措置”に対して違憲判決を下しており、既にこの時から状況は変わ
り始めていたという。
ポリコレとは「人種、信条、性別、障害、体型などを理由とした偏見や差別を含ま
ない、公正で中立的な表現を用いること」 逆差別とは「過去に差別を受けていた
黒人・女性・少数民族・障害者などを優遇することにより、能力の有る白人や男性
の進学・就職に不公平が生じている状況」とある。以下に具体例を幾つか箇条書き。
★ポリコレにより名前や呼び方が変わったケース
・職業名 …看護婦→看護師 保母→保育士 等。
・敬称 …教師は生徒をAちゃんB君ではなく、“さん”づけで呼ぶことに。
・人種表現 …(例えば)インディアンはネイティブ・アメリカンに。
★逆差別なのでは?と問題になったケース
(大学入試)・黒人、女性、他民族などを優先的に入学させた結果、彼らより高得
点だったのに不合格にされた白人男性。
(雇用) ・管理職に一定割合の女性を登用する制度により、昇進を後回しにされ
た男性。
・障害者雇用枠の推進により、不採用となった一般応募者。
(支援金) ・歴史的に差別を受けて来た集団に、特別優遇措置を講じる。
他に、他宗教に配慮して「メリークリスマス」を「ハッピーホリデー」と言い換え
たり、既存の物語のキャラクターを白人から黒人に変えたり…といったことが増え、
これらはポリコレ忖度なのでは?と批判の的になっていた。
最近、マクドナルド・米メタ・アマゾンなどの大企業が相次いで、DEI取り組みの
廃止や縮小を発表した。他にも多くの企業が、先に書いた違憲判決・活動家からの
圧力や法的な脅し・顧客の反対等で公約の見直しを迫られているという。
日本はアメリカほどDEIは浸透していないが、先日自動車の大手企業が見直しを
始めたという報道があった。日本の場合アメリカとは背景が違うのと、少子高齢化
・労働力不足・女性の管理職比率が極端に低いこと等により、反DEIは起こらな
いだろうという意見も見られる。
2018年に東京医科大学入試において、一部の女性が不当に不合格とされていた事が
あった。大きな社会問題となったので憶えている人も多いと思うが、この出来事が
キッカケで、何年も前から多くの医学部入試で同じ事が行われていたことが判明。
世間に衝撃が走った。
“多様性”については改善すべき点が沢山あるようだが、現在優遇されていると言わ
れる(一部の)女性や黒人・マイノリティ等々は、少し前まで当り前のようにはじ
かれていた人達で、立場が逆になっただけ…という意見もある。
逆差別も問題だが、過去に行われてきたこのような差別と、医大入試のような差別
は今でもこっそりと、時に大っぴらに続いている事を忘れてはいけないと思う。