ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想(漫画)『神様のいる家で育ちました』(菊池真理子)

[内容]

宗教にのめり込む親に洗脳され、世間とはかけ離れた生活を強いられた子供達の、

成長する迄の葛藤が描かれている。副題『宗教2世な私たち』

[感想]

元々は集英社が運営するウェブサイトで連載されていたものだが、ある宗教団体か

らの強い抗議により途中で閉鎖され、その後未発表を加えて文芸春秋が単行本化。

 

著者の実体験を含め、様々な宗教の2世達にインタビューしたものが7話収められ

ている。宗教団体の名前は伏されているが、内容で誰にでもすぐ推察できる。

 

宗教によって、輸血、恋愛、一部の学校行事、娯楽…等々、重いものから軽いもの

まで様々な禁止事項や強制があり、下記はその影響を受けた具体例。

 

◎薬は悪…という教えのため、アトピーの症状が酷くなっても「濁毒が出て良くな

 ってる証拠」などと言われて、何年も薬を使わせてもらえなかった。

◎教祖は“イエスの再臨”と言われて育つ。信者を無作為に組み合わせた合同結婚式

 が有名で、安倍総理銃撃事件は、犯人の母親による教会への莫大な寄付が発端。

◎信者である母親の勧めで、教団が設立した高校に進学したが、最終学歴がこの高

 校では就職は難しいと悩む女性。(教祖の長男が家族の暴露本を出版している)

 

2世達は小さい時から“信じる者だけが救われる”と刷り込まれているため、天罰が

下る恐怖と、親を悲しませたくないという思いで、ずっと親に従ってきた。

しかし成長と共に世間とのギャップに悩むようになり、しかも親に逆らうと体罰

待っている子もいて、これらは 「毒親による宗教を盾にした虐待では?」と言われ

たりしている。中には、休日には子供と一緒に宗教の勧誘に歩く…という人もいて、

状況によっては子供への人権侵害とみなされることも。

 

ただし本書に書かれていることが、全ての2世に当てはまるわけではない。

世界の宗教の殆どは先祖代々受け継がれてきたもので、日本においてもお寺や神社

世襲制だが、皆地域にとけ込んでそれぞれの役割を果たしている。

一般家庭でも神棚と仏壇を備えている家は多く、私も毎日手を合わせているが、親

に強制されて始めたわけではない。

 

では本書に登場する宗教団体や親の場合、一体何が問題なのだろう。

まず、親自身は自分で選んだ宗教なのに、子供には信仰の自由を許さない。

体罰と称して、信仰にかこつけて子供に暴力をふるう親がいる。

信心というより、教祖や教義に依存又は自縛状態に陥っている事に気付いてない。

信仰を理由に必要な治療を拒否して死なせるなどは論外で、これは殺人と同じ。

 

他にも色々あるが本書の親達に欠けているのは、教祖や先輩会員の話すことを、

一つ一つ自分の頭で考え客観的に判断する…ということではないだろうか。

いくら教祖を尊敬していても、相手は神ならぬ人間。「間違うこともあるだろう。」

と一歩引いて見ても、罰など当たらないと思うのだが。