[内容]
宗教にのめり込む親に洗脳され、世間とはかけ離れた生活を強いられた子供達の、
成長する迄の葛藤が描かれている。副題『宗教2世な私たち』
[感想]
元々は集英社が運営するウェブサイトで連載されていたものだが、ある宗教団体か
らの強い抗議により途中で閉鎖され、その後未発表を加えて文芸春秋が単行本化。
著者の実体験を含め、様々な宗教の2世達にインタビューしたものが7話収められ
ている。宗教団体の名前は伏されているが、内容で誰にでもすぐ推察できる。
宗教によって、輸血、恋愛、一部の学校行事、娯楽…等々、重いものから軽いもの
まで様々な禁止事項や強制があり、下記はその影響を受けた具体例。
◎薬は悪…という教えのため、アトピーの症状が酷くなっても「濁毒が出て良くな
ってる証拠」などと言われて、何年も薬を使わせてもらえなかった。
◎教祖は“イエスの再臨”と言われて育つ。信者を無作為に組み合わせた合同結婚式
が有名で、安倍総理銃撃事件は、犯人の母親による教会への莫大な寄付が発端。
◎信者である母親の勧めで、教団が設立した高校に進学したが、最終学歴がこの高
校では就職は難しいと悩む女性。(教祖の長男が家族の暴露本を出版している)
2世達は小さい時から“信じる者だけが救われる”と刷り込まれているため、天罰が
下る恐怖と、親を悲しませたくないという思いで、ずっと親に従ってきた。
しかし成長と共に世間とのギャップに悩むようになり、しかも親に逆らうと体罰が
待っている子もいて、これらは 「毒親による宗教を盾にした虐待では?」と言われ
たりしている。中には、休日には子供と一緒に宗教の勧誘に歩く…という人もいて、
状況によっては子供への人権侵害とみなされることも。
ただし本書に書かれていることが、全ての2世に当てはまるわけではない。
世界の宗教の殆どは先祖代々受け継がれてきたもので、日本においてもお寺や神社
は世襲制だが、皆地域にとけ込んでそれぞれの役割を果たしている。
一般家庭でも神棚と仏壇を備えている家は多く、私も毎日手を合わせているが、親
に強制されて始めたわけではない。
では本書に登場する宗教団体や親の場合、一体何が問題なのだろう。
まず、親自身は自分で選んだ宗教なのに、子供には信仰の自由を許さない。
体罰と称して、信仰にかこつけて子供に暴力をふるう親がいる。
信心というより、教祖や教義に依存又は自縛状態に陥っている事に気付いてない。
信仰を理由に必要な治療を拒否して死なせるなどは論外で、これは殺人と同じ。
他にも色々あるが本書の親達に欠けているのは、教祖や先輩会員の話すことを、
一つ一つ自分の頭で考え客観的に判断する…ということではないだろうか。
いくら教祖を尊敬していても、相手は神ならぬ人間。「間違うこともあるだろう。」
と一歩引いて見ても、罰など当たらないと思うのだが。