[内容]
フィンランドの歴史と国防、NATOの歴史、日本との関わりについて解説。
[感想]
著者は外交官、衆議院議員、大学院客員教授等を経て現在は皇學館大学准教授。
年齢は本書出版時 (2023年)で40才。
フィンランドと聞いて頭に浮かぶのは、森とサンタクロースとムーミン。
教育・福祉・働き方改革の先進国としても有名で、世界幸福度ランキングでは今年
(2025年)も1位に輝き、これで8年連続のトップだ。
しかし本書に書かれているフィンランドの歴史と国防のあり方、エネルギー政策を
読むと、日本人とは正に“覚悟”が違うというか、全く違う側面が見えてくる。
フィンランドは600年もの間スウェーデンの支配下にあり、その後100年はロシアに
統治されていたが、1917年に大統領を元首とする共和国として独立。中立を基本と
していたが、2023年にNATOにスピード加盟した。(EUには1995年に加盟)
キッカケはロシアのウクライナ侵略だが、実はフィンランドはその歴史から元々国
防意識が強く、非武装とは正反対でロシアを仮想敵国とした安保体制を整備してき
た国だという。下記はその具体例。
・18歳以上の男子に兵役義務があり、女性の兵役もOK。総人口の約16%が予備役
である。 (現在徴兵制を採用している国は64か国。)
・加盟前からNATOの作戦に協力しており、ISAF(国際治安支援部隊)へ自国軍を派兵
している。
・ウクライナへはロシアの侵略直後から、積極的な武器供与をしている。
著者は本書で繰り返し、フィンランドから学ぶべきは「国民自ら国家を守るべし」
という国防意識だと言っている。以下にその中から4つ抜粋。
「国民の82%が、自国が攻撃されたら祖国防衛に参加すると回答している。」
「移民が大統領になる可能性を憲法で排除している。」
「社会が分断すれば外国の介入を招く…という教訓を、歴史から得ている。」
「権威主義国家との交渉に臨む際には、国民の支持を得ていることが重要。」
この他フィンランドでは、原発推進でロシアのエネルギー依存を回避し、現在合計
5基の原発が稼働している。また世界一進んだ高レベル放射性廃棄物に関する、最
終処分施設が建設されたことでも注目されている。
著者は一貫してこう訴えている。
「世界の安全保障環境は激変している。日本は幻想から一刻も早く目覚めて、空想
的平和主義を捨て去らなければならない。」
「平素から国防力を高めておく。その基盤の上に、同盟の力を足し合わせていく。」
「危機を煽るな」と言う人達もいるが、現在進行形の中国やロシアによる侵略、台
湾問題など、日本にも戦争の足音が迫っていると言われる昨今。ネットで見た世論
調査では、“日本が武力衝突に巻きこまれる”という不安を感じている人は8割もいた。
私は本書を読み終えて尚一層、日本の平和が続くことを願わずにはいられない。