[内容]
予備校時代に経験した覚醒剤がきっかけでヤクザになるも、紆余曲折を経て弁護士
となった男性の半生と、どん底から這い上がるための手引き書となる内容。
[感想]
著者は1976生まれの現役弁護士。
本書は人生に失敗した人達、特に逮捕されていたり刑務所にいる人達に読んでほし
いと思って書いたそうだ。ヤクザ時代の話はあえて生々しく書いたとかで、リアル
で結構えげつない。しかし自戒と共に、道を誤った人達への戒めとして、正直且つ
誠実に書いてくれていると感じた。
著者がどん底に堕ちていく様と更生の道のりも興味深いが、難関資格を取るための
勉強方法にも多くの頁が割かれており、受験生には色々参考になると思う。
著者は裕福な家庭で育ったひとりっ子で、成績は常にトップクラスだった。中学の
時に父親が亡くなってから夜遊びをするようになり、高校は進学校に進むも大学受
験に失敗して、予備校に通うために上京。ところが、そこで覚醒剤と出会って人生
が転落していき、2浪で成蹊大学に入学しているがすぐに中退。
雀荘に入り浸り、信頼する“アニキ”の右腕となって、背中一面に刺青をいれ、覚醒
剤の売人・闇金融で稼ぐ生活となった。
その後自分自身が覚醒剤の重い中毒となって、幻覚・幻聴に苦しむ日々となり、28
才のある日交差点で挙動不審により警察に“保護”される。
そこから精神科病院への措置入院、覚醒剤取締法により執行猶予3年の判決、組織
からの破門と続き、これが契機となって人生が大きく変わっていく。
ある日母親が留置所に差し入れてくれた物品の中に、大平光代弁護士(元極道の妻)
の著書『だからあなたも生きぬいて』があった。それを読んだ著者は、こういう生
き方もあるのかと感銘を受け、それからは彼女が辿った道をひたすら忠実に追いか
ける日々となる。
体幹の筋力が足りなくなっていたため、机に15分と座っていられない程、勉強が
出来なくなっていたが、(著者風に言うと)しつこく勉強を続け、まず宅建、次に司
法書士試験、そして最後に司法試験に合格するという快挙を成し遂げた。
途中からロースクールや予備校に通っており、ライバルであり仲間でもある生徒
達の存在は大きなモチベーションになったという。また自身の裁判の時の裁判官
に、「君ならできる」と言われたことが、心の大きな支えとなったそうだ。
以下は、受験に関する著者からのアドバイス。
◎受験勉強のコツは過去問や問題集を繰り返すこと。
間違ったところだけテキストを読むのでもいい。時間をかけて記憶を絞り出す
必要はない。目標はあくまでも合格。
◎朝型の規則的な生活を習慣化し、しんどくても諦めず「今日だけ」「もう一日だ
け」と続けていると、当たり前にこなせるようになる。
◎“ちょこちょこ勉強”を習慣化する。諦めずに続けていれば、必ず成果に結びつく。
◎勉強の息抜き・リフレッシュのために、運動をする。
やくざ稼業や依存症の解説はどれも印象深いものだったが、著者のつぎの言葉には、
改めて薬物中毒の恐ろしさを感じた。
「『明日が地球最後の日なら何をしたい?』と質問されたら僕は『シャブ』と即答だ。
シャブは一生ついて回るものだと覚悟しなければならない。」
若い人達には、ゆめゆめ興味本位で薬物に近付いたりしないでほしい。