ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想 漫画『命がけの証言』(清水ともみ)

[内容]

中国によるウィグル人への弾圧を、データと証言を基に告発。

[感想]

中国は民族の独立を認めず、1955年に新疆ウィグル自治区を設立。

チベット、モンゴル、香港も中国によって略奪されたというのが世界の認識で、

この事は国連機関によって“人権侵害”と認定されている。

 

本書にはウィグル人へのジェノサイドの内容、強制収容所での拷問や臓器狩り等が

詳細に描かれており、凄惨な内容だが絵柄がシンプルなので、中高生でも目を背け

ずに読み進むことが出来ると思う。

 

序章は著者とウィグル出身の女性(大学教授)との25頁にわたる対談となっており、

「日本ではマスコミも人権団体も中国に忖度してウィグルの問題に向き合おうとし

ないが、“明日は我が身”」と警鐘をならしている。

 

証言によると、無実の罪で本人のみならず親族まで拘束されるのは日常茶飯事。

例えば、日本から来た観光客に名所を案内する仕事をしていた女性は、ある日突然

当局に呼び出され、4日後に遺体となって親に返されている。

日本で暮らしていても、身の安全を保障する代わりに同胞を裏切ってスパイになれ

と要求されたりするケースもあるそうだ。

 

新疆ウィグルには沢山の “職業訓練センター”“再教育施設” があり、百万人以上

のウィグル人が収容されていると言われる。拷問部屋ではあらゆる種類の拷問が行

われたと書かれているが、以下はアメリカ上院議員の証言の一部だ。「警棒2768本、

(以下数量略)電気棒、手錠、催涙スプレーを購入する職業訓練センターとは…。」

 

中国には世界中の商品の工場があり、あり得ないような安い価格で出荷されている。

そこではウィグル人も大勢、過酷な状況で奴隷のように働かされているとみられ、

2021年から多くのブランドが新疆綿(しんきょうめん)の使用を中止している。

 

「中国は強制収容所に収監している人々から年間10万件以上の臓器を世界に提供し

ている。」…にわかには信じがたい数だが、実際、中国の移植スピードと数はおか

しいと言われており、ネットでも「WMA(世界医師会)は中国が囚人や拘留中の人を

臓器提供者として利用することを直ちにやめるよう要求する。」という声明文を見

ることが出来る。

臓器移植をした亡命医師の「驚いたことに、メスを入れたらまだ生きている!」と

いう発言は衝撃だった。

※死刑囚をドナーとすることは2015年に停止されたとかで、今は臓器の違法取引

 が問題になっている。

 

ウィグル人は日常の暮らしも大きく変えられしまい、以下も証言の一部だ。

「2015年頃から私の実家にも2つの監視カメラが設置され、監視のために各家庭に

 漢人が派遣され、家族として寝食を共にするのです。」

「若いウィグル人男性は強制的に拘束収容されており、一方漢人を大量に入植させ

 ウィグル人との結婚を奨励。女性は家族の暮らしや安全の為にも漢人との結婚を

 拒否できません。」

 

本書の最後の頁は、こんな言葉で締めくくられている。

「2015年の中国の発表によると、ウィグル人の人口は1130万人。ところが2020年

の外交官等のお土産の説明では、721万人と記されている。この数年間で約400万

人のウィグル人はいったいどこに消えたのでしょうか。」