ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想『何をやっても癒されない』『鬱屈精神科医、占いにすがる』 (春日武彦)  

[内容]

『何をやっても-(略)』は週刊誌に連載されたエッセイがまとめられたもの。

[感想]

著者は産婦人科医を経験してから、6年後に精神科医に転向した変わり種。

以前このブログで、著者の『病んだ家族、散乱した室内』の感想を書いたが、本書

(2冊)も建前ではなく本音で語られており、興味深く読むことが出来た。

 

本書の紹介文に「生きづらさに悩む人必読の書」とあったが、癒しを得る方法が書

かれているわけではなく、精神科医として多くの人達の症例を診てきた見解が述べ

られている。

 

重篤な精神病の人はあまり登場せず、著者は「患者さんは自分と大差がない。ちっ

ぽけなわだかまりや、いじましい自尊心、余裕を欠くがゆえの被害意識といったも

のに捕らわれて足掻く人たちばかりなのである。」と語る。

 

内容は多方面に渡っており、精神科医の書くものだけあって「他人を非難し、憎む

ことを生きがいにしてる人は予想外に多い。」など、普通に暮らしている分にはあ

まり出会う事の無いタイプの人間の、心の闇を感じさせるものも多かった。

 

「易者レベルの観相学は、少なくとも精神科医療には利用できない。」とあったの

で、これは人相学に拘る人への警鐘なのか、それとも著者流のジョークか?と思っ

ていたら、その後『鬱屈精神科医、占いにすがる』という本を出していた。

 

しかし占いについて書いているのは僅かで、著者も言うようにこちらの本は私小説

に近いかもしれない。母親との確執や仕事など、諸々に対する自分の感情を真面目

に赤裸々に書いており、ここ迄自分の心や手の内をさらして仕事がしづらくならな

いかしら…と余計な心配をしてしまったが、独特の感性と文章の上手さで思わずク

スッと笑う場面も多い。

 

ここからは、私の知人の話を少し。

何年か前、心療内科に通っていた知人が病院帰りに私の家に来て、その日の診察で

起きた事を話し始めた。いつもはよく話を聞いてくれる主治医が、突然「そんなん

だから、いつ迄経っても治らないんだ!」と、彼女を怒りつけたのだという。

 

本人は「いつも同じ愚痴ばかり言ってる私が悪い。」と涙ぐんでいたが、 私は、

“医者も人間”ではあるが、診療費をとっているプロが2人きりの診察室で、心の弱

ってる患者相手にそんな態度をとるのは言語道断だと思った。

 

彼女はその日以来そこに通うのをやめたが、立ち直る迄に結構時間がかかった。

精神科医に限らず、心に関わる事を相談する時はこちらも、慎重に相手の人間性

見極める必要がありそうだ。