ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

何か月も私と目を合わせなかった、すず(猫)

人も動物も他者と出会った時には、最初に目を見る。

相手を認識する時にとっさに目を見るのは本能的なものだそうで、動物の場合は強

い相手だと、瞬時に目をそらすか逃げるなどして身を守る。

 

ただし飼い犬猫の場合は、余程の不仲でない限り警戒して目をそらすなんてことは

無く、意味もなく飼い主のことをジッと見つめている事も珍しくない。

 

すずは近所を徘徊していた猫で(♀・当時8歳位)、ご近所さんに相談されて結局我が

家の一員となった子だ。美形でおとなしく、何故か私とは目を合わせようとしなか

った。

 

最初の2カ月間は、まだ解体していなかった以前の住まいに置き、毎日耳ダニと結

膜炎の薬をさしに通っていたので、それで嫌われてしまったのかなと思っていた。

しかし自宅に連れて来てからも私と目を合わせることは無く、でもいつかきっと私

を見てくれる筈…と、その時を楽しみにしていた。

 

家に来て数か月経ったある日のこと。目の前にいたすずが、突然ゆっくりと顔を上

げて私の目を見た。しかしそれは、上目遣いの挑むような目つきで、私は喜ぶどこ

ろか一瞬怯んでしまった。

 

ノラ猫の警戒している顔や怒った顔は何度も見たことがあるが、あんな目は初めて

で、しいて言うとそれは「お前は一体誰なんだ」とでも言ってるようだった。 

「どんな扱いを受けてきたら、人をこんな目で見るようになるのだろう…。」

何だか不憫で、私は暫し考え込んでしまった。

 

ある日すずが背中を高く持ち上げる“伸び”をした時に、背中が伸び切っていない

ことに気付き病院に連れて行った。レントゲンを撮ったところ背骨が少し変形して

いることが分かり、先生から「背中の毛の下に古い傷痕があるので、事故にあった

か、あるいは棒で思い切り叩かれたか…。」と言われた。

 

すずとはその後6年近く一緒に暮らし、出来るだけ撫でて抱っこもした。しかし、

拒否こそしないが結局一度も自分から甘えてくることは無かった。

他の猫たちとも距離を置き、喧嘩をすることは無いが小さくなっているわけでもな

く、最後まで単独を貫いた。

 

2か月前、子猫のハナが我が家にやってきた。一緒に暮らした他の犬猫達は皆あち

らの世界に行ってしまったが、ハナと同じように今も尚可愛くてならない。

しかし生前あんなにも心に掛けていたのに、不思議とすずにはそこまで強い気持ち

は無い。それはきっと、すずはうちの子ではなく“一時的に預かった子”という気持

ちでいるからだろう。時々色々なことを思い出しながら話しかけているが、伝わっ

ているかな。

 

※「一時的に預かった子」の事情については、2020.4.24に記録。