今から35年程前、我が家で初めての飼猫ナナが数日間家に帰って来なかった時の
こと。当時の私は迷子猫についての知識が殆ど無く、ただやみくもに家の周りを
探し回るだけだった。
義妹猫のペペも突然居なくなったナナを探し、夜になると階段の上段に座って何
時間も玄関上部のガラス窓を眺めていた。(カーテンが無いので、少し外が見える)
犬猫は感情で涙を流すことは無いと言われるが、何故かその時のぺぺは病気でも
ないのに潤んだ目をしていて、ペペの為にも私の気持ちは焦るばかり。
(犬が嬉し涙を出すことがあるのは、研究で明らかになっているそう。)
3日後、突然ナナが帰ってきた。すっかり痩せて一回り小さくなっていて、私は
驚喜しながら二度と同じヘマはしないと誓い、住所を書いた首輪を付けた。
(避妊済なので、居なくなった理由は分からない。)
その何年か後にこの団地に引っ越し、ムク(飼犬)の散歩をしていた時のこと。
団地のすぐ近くに住むという女性から、声をかけられた。
飼猫が脱走して居なくなり、もう2日も探しているのに見つからないという。交番
と保健所には迷子の届けを出しているそうで「赤ん坊の時から育てた子で…。」
と心配顔で話す姿に、以前ナナが居なくなった時のことが重なった。
この時私は動物ボランティアをしており、彼女に迷子猫のポスターを作ることを提
案。丁度大学生の息子さんが留学先から帰省しているという事で、ポスターはその
日の内にパソコンで作られ、私も団地の会長に許可を貰って団地内に何枚か貼らせ
てもらった。
結果翌日には、女性宅のお隣の倉庫に(うっかり)閉じ込められていたのが見つかり、
その翌日にはわざわざ手作りのシフォンケーキを持って挨拶に来られ、安心するや
ら恐縮するやら。
このケーキが絶品だったので、あの時の事は何故かケーキとセットで思い出す(笑)。
最後にマイクロチップについての情報。
阪神・淡路大震災で、迷子になった犬や猫が増えたことがキッカケとなり、その後
動物愛護管理法が改正され、2022年6月からブリーダーやペットショップ等で販売
される犬猫については、マイクロチップの装着が義務化されている。
ちなみに一般の人については、マイクロチップ装着は「努力義務」だそうだ。