最近“肉体労働”“頭脳労働”と並んで“感情労働”という言葉を耳にするようにな
った。この仕事を遂行するにあたっては、感情の抑制・忍耐が不可欠で、顧客
に対して常に冷静で根気よく丁重に接することが求められるという。
職種として挙げられるのは、接客業、クレーム対応業務、介護職等々。
そこまで厳しくなくとも、どのような職種・職場でもある程度は感情のコント
ロールや社会人としての気遣いは必要で、それは家庭においても同じだ。
先日「仕事や家事で疲れてるのに、ダンナにまで感情労働なんて出来ないわよ。」
と言った女性がいて、私は面白い表現だと笑うと同時に、以前知人女性(2人)が
こぼしていた話を思い出した。
彼女達の夫は他愛のない会話の最中に、妻から自分と反対の意見を言われただけ
で、まるで人格を否定されたように怒り出すことがあるのだという。
彼らの職業は、一人は医師でもう一人は銀行のお偉いさん。
普段は亭主関白でもモラハラでもなく極普通の人だそうだが、実は学歴も社会的
地位も高い人には、案外こういうタイプは少なくないらしい。
要はプライドが高い上に妻を一段下に見ているから、そういうことになるわけで、
もう一つ言うと器が小さい。
奥さん側の一方的な話ではあるが、どう見ても怒るような内容ではなかったので、
彼らの根底には“女は男を立てるてるもの”という考えもあるようだ。
昔は戒律や道徳の教えにより、何の疑いも無く「男は敬われる存在で女より偉い」
と考える人が多く、今でもそのように扱われることを望む男性は珍しくない。
しかし“男”というだけで自分を立ててくれているのなら、そのことに胡坐をかく
のではなく、敬われるにふさわしい人間になるよう努力すべきだろう。
昔から「賢い女は人前では男を立てながら、掌で転がす。」などと言われるが、
そんな事をしなくとも、尊敬できる相手には男とか年上とかには関係なく、人は
自然と謙虚な気持ちになり、そのように振る舞うものだ。
また、夫や年配者を立てるということは、自分の意見を言わないことでも、言い
なりになることでもない。互いに相手を立てて(尊重して)こそ均衡がとれ、それ
は人間関係を良好に保つ基本だと思う。