25年程前、中2の甥が部活で怪我をした時のこと。
生徒達が順番に並んで砲丸投げをしていて、甥が自分の投げた砲丸を片付けようと
していたところへ、次の生徒が砲丸を投げてしまった。
皆が一斉に「危ない!」と大声を上げたが間に合わず、甥がその声に振り返ったの
と同時に、飛んで来た砲丸が右耳上を強く擦っていった。
大量の出血があり、職員室に居た先生方が窓から飛び出て甥に駆け寄り、止血をし
ているところに救急車が到着。
太い血管が傷ついた為に酷い出血となったが、幸い他に危険な症状は無かった為、
その日は一旦帰宅。翌日脳外科でMRI検査をしてもらい、異常無しと言われてや
っと安心したという。
警察が現場検証に来て、その間学校はハチの巣を突いたような大騒ぎになっていた
のは、後で知ったとか。友達など何人かが心配の電話をくれ、有難かったとも。
当日の夕方先生方が謝罪の為に自宅を訪れ、翌日には警察が事情を聞きに来て色々
質問されたという。その時妹が「(砲丸を投げた)K君は小学生の時からの友達で、わ
ざとぶつけることはないから、どっちも災難でした。」と言ったところ、警察官か
ら「お母さん、良いこと言った。」と言われたという。
どういうことかと思ったら、「この手の事故は被害者の家族が騒ぎ立てると、校長
先生と部活の教師の首が飛ぶ事件になります。」と説明され、とても驚いたそうだ。
警察はK君にも事情を聞きに行ったようで、その後何年経ってもK君は街で会うと
もの凄い笑顔で挨拶してくれるのだとか。妹は「きっと私がK君を庇ったことを警
察の人から聞いたんだろうね。当たり前のことだけど嬉しかった。」と言っていた。
先月立て続けに、学校での事故の報道があった。
何故学校では、こうも同じ事故が繰り返されるのだろう。砲丸投げに限ったことで
はない。よく聞くのが柔道・野球・陸上などで、組体操やプールでの事故も多い。
スポーツ事故の他にも、熱中症で倒れた、校舎から転落した、ゴールポストの下敷
きになった等、学校での事故は想像以上に多い。
アメリカやイギリスなどの諸外国では、CDRが実施されているという。
※CDR =チャイルド・デス・レビューの略。再発防止のために、子供の死亡事故
の死因を究明する制度。
日本でも2020年に、厚労省主導で都道府県レベルでのCDRモデル事業が始まり、
制度化に向けた議論が進められているそうだ。
妹は甥の事故の事を「教師が誰も居なくて、指導が無かったことが事故の原因。」
と言っていたが、私もその通りだと思う。
事故の予防には生徒自身が気を付けることは勿論、教師が安全に配慮しながら指導
し、きちんと見守ることが基本だろう。