[内容]
私達の住む宇宙の他に“別の宇宙”は存在するのかを、科学的に考察。
副題『宇宙はひとつだけなのか?』
[感想]
著者は東京大学大学院教授
前半は“地球中心説”に始まる宇宙概念の変遷史で、そのあとはマルチバースを
中心に、観測や数式を基にした理論が展開されている。
本書は入門書としてもお勧めだそうで、平易な言葉で噛み砕いた説明をしてくれて
いる。私には宇宙論に関しての基礎知識も想像力も無いので、難しい数式や難解な
理論は斜め読み(時に飛ばし)したが、それなりに楽しく読むことが出来た。
この宇宙は物理の法則によって誕生しているが、私達にとって不自然なほど都合よ
く出来ているそうで、その疑問を解いてくれるのが マルチバースだとか。
※マルチバース=多元宇宙と訳され、私達の住む宇宙以外にも、観測することの出
来ない様々な宇宙が存在するという概念。
下記はマルチバースレベル1~4の、超簡略な説明。(マックス・テグマーク提唱)
〈レベル1〉 異なる無数の有限ユニバース(宇宙)の集合
〈レベル2〉 因果関係を持たない無数のレベル1マルチバースの存在
〈レベル3〉 無数の時空の集合。そのどれもが現実になり得る
〈レベル4〉 あらゆる数理的構造に対応した宇宙 (ここまで来ると想像不可^^;)
以下に、本書で印象に残ったことを幾つか抜粋。
◎「138億年前のビッグバンを“点の爆発”とするのは間違いで、正しくは、宇宙の
あらゆる場所が等しく高温高密度であった初期の状態をさす。」
私も勘違いしていたクチで、これには思わず「(昔テレビで見た)あの解説では誰だ
って勘違いするでしょ」と、突っ込みを入れてしまった(笑)。
※最近ビッグバンを否定する説も出ており、宇宙の真実は永遠に謎なのかも。
◎天の川銀河のハビタブル惑星(居住可能惑星)には諸説あるが、著者によると
「1000万個あると期待される。」とか。 予想をはるかに超える数で仰天した。
◎「地球の海水を全てまとめた水滴にして、地球儀に置いた図」というのが載って
いたが、その水滴は、地球儀の上に1個だけ置かれたビー玉のように小さくて衝
撃だった。
◎無限には2種類ある。(ラジオチューナーでの例えが分かり易かった)
①数えることが出来る「可算無限」 ②数えることが出来ない「連続無限」
著者は「人間原理に従ってこの宇宙の不自然さを自然に理解しようとすれば、ある種
のマルチバースの存在を認めるのが必須。」と言っている。
※人間原理 = 宇宙の構造の理由を人間の存在に求める考え方。
多元宇宙論はただの空想とは違うと言われるが、
“我々のクローンユニバース” “パラレルワールドの集合” などという言葉が出てく
ると、私にとってはもう、哲学というよりはSFかスピリチュアルの世界だ。