[内容]
アメリカでは、正義の名のもとにポリコレの活動が暴走しているということで、
本書では主に黒人とLGBTへの差別に関する問題を取り上げて解説されている。
『副題』…「『多様性尊重』『言葉狩り』の先にあるものは」
[感想]
著者はノンフィクションライター。
“ポリコレ”はポリティカル・コレクトネスの略。意味は「人種・宗教・性別など
の違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。」で、
1980年代頃から米国で始まったとある。
アメリカでは今、マイノリティへの過剰な配慮の結果、言葉狩りの様相を呈して
おり、著者は日本も同じ流れになっていると警鐘を鳴らす。以下はアメリカの例。
・公共の場にキリスト教的要素があると、政教分離違反として訴訟を起こして撤
去させ、「メリークリスマス」は「ハッピーホリデー」に言い換えさせられる。
・下記はアメリカ下院では使えなくなった言葉の一部。(「」内は修正された言葉)
父・母→「親」 息子・娘→「子」 夫・妻→「配偶者」 他多数
本書では様々な問題が提起されており下記は、その一部。
・トランス女性(体格・体力は男性並)が女子競技に参加するのは、公平ではない。
・LGBTを弱者ビジネスにしようとする人々がいる。
・日本のポリコレは、反日の養成所となっている。 (本書に詳細な解説有り)
著者はポリコレの活動を一貫して否定的に捉えており、日本のLGBT・黒人差別
については、幾つかの例とインタビューによって「日本では特に差別など無かっ
た。」「当事者たちは活動に迷惑している。」と結論付けている。
確かに日本では、アメリカのように制度的な差別は無かったかもしれない。
だが差別に苦しめられたという告白はこの日本でも珍しくはなく、様々なタイプ
の人がいるとは思うが、「差別は無い」はちょっと違う気がする。
BLM(ブラック・ライブズ・マター)は「黒人の命は大事だ」といった意味で、
2012年に17歳の黒人少年を殺したヒスパニック系の男性が無罪になったこと
がキッカケで、3人の黒人女性によって創設されたそうだ。
この手の事件は昔からあり、それ以後も多発。その度に抗議行動が起きるが、
一部は暴徒化するのがお定まりとなっている。破壊や略奪を行う彼らの言い分は
「富の最大の下方再分配」だそうで、何をか言わんやである。
BLMは又「警察は丸腰の黒人を射殺し続ける組織」「監獄は黒人やマイノリティ
を不当に収監している組織」として、警察と監獄の廃止を訴えているという。
著者はこれに関しても多くの事例を挙げて、「実際は黒人が黒人を襲うケースの
方が圧倒的に多い」「扇動しているのはほぼ左翼の活動家」と断じている。
本書ではポリコレとBLM運動の歴史・思想背景にも多くの頁が割かれている。
賛否がはっきり分かれそうな本だが、アメリカではヘイトクライムが増えている
という現実があり、まだまだ闘いは続きそうだ。
※WHOなどの国際機関では既に「性同一性障害」という言葉は廃止されており、
日本でも「性別不合」という言葉に変更されてきている。