[内容]
元受刑者・検事・刑務官・教誨師などによって、犯罪及び刑務所の実態が語ら
れている。
[感想]
記事の殆どが受刑者の顔写真付きで、有名事件ばかりを扱っている。下記は
その一部で、どれも興味深い内容だった。
◎新潟少女9年2カ月監禁事件 (佐藤宣行)
◎オーム真理教の幹部村井秀夫刺殺事件 徐裕行(ソ・ユヘン)
◎戦後最大規模の経済不正経理事件と言われたイトマン事件 (許永中) 等々
個々の事件の他、刑務所の内情や犯罪者の実情についても色々語られている。
その中から3つをピックアップ。
◎自分は冤罪で逮捕されたと話す受刑者が多い。
◎刑務所は生活困窮者にとって、駆け込み寺のようなものだ。
◎刑務所に入る人の2割は知的障害者である。
村井秀夫刺殺犯の徐裕行は、拘禁障害で出所後暫く失語症に悩まされたという。
4回の脱獄に成功して“脱獄王”と呼ばれた白鳥由栄(明治生まれ)は、布団に水を
撒かないと熟睡できないと言っていたそうで、その理由は長年の刑務所生活で
湿った布団以外使ったことが無いからだとか。
90年前の日本では医学研究を目的に、死刑執行直後の死刑囚の頭部を型取りし
た蝋細工が制作されていたことがあったそうで、本書には4人の死刑囚の生前
の顔とデスマスクが並んで載っている。その写真には、さすがに息を呑んだ。
「刑務所ビジネス」「矯正協会が握る監獄利権」「落語家が見た刑務所の実態」
等、他にも興味深い話が多数。
巻末に「日本の刑務所裏年表」として、脱獄や囚人による襲撃、自殺、伝染病等
の記録が8頁に渡って記載されている。一般社会とは正に別世界で、途中何度か
深呼吸をしながら読み終えた。