ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想〈漫画〉『五色の船』『式の前日』

         ★『五色の船』(近藤ようこ

[内容]

自分自身を見世物として生きる、血の繋がらない異形の家族の不思議な物語。

文化庁メディア芸術祭・漫画部門大賞”を受賞。

[感想]

病気や生まれながらの障害などで、本当の家族とは暮らせなかった5人。

互いを信頼し助け合って生きているが、どこか浮世離れした暮らしだ。

 

戦争や貧困もあって、背景にずっと物悲しさが漂っているが、“あちらの世界”

で別人のように生き生きと逞しく生きる様は、想像を超えた展開だった。

 

彼らをそこに導いた、特殊能力を持つ“くだん”の正体が胸に刺さる。

 

 

         ★『式の前日』(穂積)

[内容]

全部で7話からなる、様々な“2人きり”の情景を描いた心に染みる短編集。

デビュー作にして幾つかの賞を受賞。

[感想]

どの話も少し不思議な雰囲気で、「どういう事だろう?」と想いながら読み進み、

「あ、そういうことだったのか…。」と、最後にじんわりと温かさが染みてくる。

以下に2話分だけ内容を少し。

 

第1話『式の前日』

弟が11才の時に両親が事故死したため、8つ違いの姉が親代わりとなって彼を

育てて来た。明日はその姉の結婚式で、2人はいつものように屈託のない会話

を交わしていたが、夜になって何故か姉が布団の中で泣いている。

 

第2話『あずさ2号で再会』

「タバコを買ってくる」と言って家を出、そのまま帰って来なかった若い父親。

彼は年に一度、娘にだけ会いに来るのだが…。

 

良い話ばかりで、読み終えた直後にもう一度最初から読み返してしまった。