ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

非常時にどこまで他者を気遣えるか

先の大戦の時のこと。外出先で空襲に遭った私の母が、周りの人達と一緒に

防空壕に逃げ込んだら、先に中に入っていた中年女性から「ここはあんたの

場所じゃないから出なさい!」と追い出されそうになったという。

(防空壕は場所によって、入る人が決められていた。)

 

その時傍にいた老人が女性を一喝してくれたおかげで、母はそのままそこに

留まることが出来たそうだが、出て行けと言うのは死ねということ。よくも

そんなことが言えたものだと思う。

 

非常時は皆自分達のことでいっぱいで、他人を気遣う余裕の無いことが多い。

中には感動するような素晴らしい行動をとる人もいるが、あまりにも身勝手

でヒンシュクを買ったなんて話も少なくない。

 

災害などの非常事態において、自衛隊や警察・消防が人命救助をする際は、

多数の人命を救うことを目指して救出の順位が決められている。

しかし、全員が助かると分かっている場合は弱い者優先でも良いが、そうで

はない時にも高齢者を優先するのはおかしいという声がある。

 

その意見については、高齢者の私でもその通りだと思う。それに、自分のせ

いで後回しにされた若者が命を落としてしまったら、只々辛いだけだろう。

しかしいざという時に自分がどういう行動に出るか、全く自信は無い。

助かろうとしてもがくのは生存本能によるものだから、パニックに陥る可能

性もある。その時は私の今のこの思いが、きれいごとで終わらぬよう祈るし

かない。

 

また、優先順位をつけるということは、救助活動を行う人にとっては過酷な

決断を強いられるということであり、その重圧は計り知れない。誰かを見捨て

た苦悩は死ぬ迄続くだろう。そういう意味でも、残された者は彼らを非難する

ような言動は慎みたいと思う。

 

最後にペットの救助について。以前は災害時のペットの扱いは酷いものだっ

た。しかし今、少しずつではあるが受入れ体制が進んできており、今後更に

充実することを期待したい。