[内容]
心臓移植リストに息子を載せる事を断られたため、人質をとって病院に立てこも
った男性のヒューマンドラマ。 (2002年 製作国アメリカ)
[感想]
ジョンの9才になる息子が、少年野球の試合中に突然痙攣を起こして昏睡状態
に陥った。運び込まれた病院で「心臓移植をしなければ、長くても数か月の命。」
と告げられ、治療費は現金払いで最低25万ドルと言われる。
しかも移植リストに名前を載せるだけで、30%の保証金が必要だという。
だがジョンは最近、会社で半日労働に格下げされていて、頼みの保険は勝手
に保証の少ないものに変えられていた。調べてもらったところ、国からの補助
金が受けられないことも分かる。
ジョンは家財道具を売り払うなどして金策に手を尽くすが、無情にも病院から
退院を勧告され、怒りのあまり患者を人質にとって立てこもってしまう。
警察に包囲されながらも、息子を移植待ちの名簿に載せることを要求するが、
病院側は利益を優先することしか頭に無く、ジョンの「金がすべてなのか」と
いう言葉が心に痛い。
人質と警察どちらの側にもクレイジーな人間がいたり、駆け引きや様々な事
が起きてハラハラさせられるが、この映画の一番の見どころは何と言っても、
アメリカの医療制度と、病院や保険会社のえげつない程のシビアさだ。
結局ジョンは人質を弱い者から順に開放し、報道で事件を知って病院前に集
まった人々はジョンを応援するが、最終的には自殺によって自分の心臓を息子
に提供しようとする。
あらすじはここ迄にしておくが、担当医が良心を取り戻していく様子と、後味
の良いラストが嬉しい映画だった。