ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『木を植えた男(フレデリック・バック作品集)』感想 

[内容]

荒れ果てた山岳地帯に、たった1人で森を蘇らせた男の短編アニメーション。

                  (1987年製作国カナダ) 映画賞受賞

木を植えた男/フレデリック・バック作品集 [DVD]

[感想]

絵はカナダのアニメ作家フレデリック・バックが、5年半かけて1人で描い

たもので、素朴な絵とストーリー、ナレーションのどれもがハイクオリティ。

 

1913年。1人の青年があてもなく、南フランスの荒涼とした丘を旅していた。

3日目にやっと村に辿り着くが、そこは誰も住んでいない廃墟だった。

風が激しく吹き荒れる中で途方に暮れていると、遠くに初老の羊飼いの姿が

見えた。青年は水を飲ませてもらった後 彼の家に泊まることに。

 

家は廃墟を修理した古びたものだったが、中はきちんと整理されていて清潔

な暮らしぶりだった。老人は無口で、黙々と働く姿には威厳さえ感じられ、

一緒に居るだけで心が安らいだ。

 

夕食後、老人がドングリの実をテーブルに広げ、一つ一つ丹念に吟味しなが

ら良い実を選別し始めた。青年はこの老人が一体何をしようとしているのか

知りたくなり、もう一晩泊めてもらうことにした。

 

翌日一緒に荒れ果てた丘の上まで行くと、老人は歩きながら一つ一つドングリ

の実を埋め始めた。青年は何故そんな事をしているのかと尋ねた。

 

老人には昔不幸な出来事があり、その後1人で余生を過ごすために羊と犬を

連れてここに来たが、木すら生えてないこの荒地を蘇らせるために、3年前か

ら種子を植え始めたのだという。老人だと思っていたが、彼はまだ55歳だった。

               ★

後半の、世界が目まぐるしく変化する様と、荒れ地に蘇った森の素晴らしさ。

黙々と自分の信念を貫いた羊飼いには、私も青年同様胸がいっぱいになった。

ずっと以前長男のDVDでこの作品を知り、どうしても自分のが欲しくて購入。

それから何度も観ているが、やっぱり素晴らしい。お勧めです。

 

※2019~2020年オーストラリアで、火災により3億頭の野生動物が被害を

 受けた。WWFジャパンでは、焼失した森林回復のために寄付を募っている。