ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

<漫画>『舟を編む(雲田はるこ)講談社』感想   

[内容]

国語辞書の編さんに打ち込む人達の、地味で温かくてユーモラスな物語。

[感想]

原作は2012年に本屋大賞を受賞した三浦しをんの同名小説で、1冊の辞書が

完成する迄の様々な出来事が描かれている。題名の『舟を編む』は、辞書の

編さんのこと。

 

主人公は馬締(まじめ)という名の、文字通り超真面目な変わり者の青年。

大手出版社の営業部で働く彼は、実は営業は苦手で恋もオクテ。

 

大学院で言語学を専攻していた馬締は、会社の食堂でも自宅でもずっと本を読

んでいるほど“言葉”が好きだ。そんな彼が人員補充の為に、辞書編集部に引き

抜かれてやってきた。

 

少人数で回している地味な部署だが、皆さんなかなか個性的な人ばかり。

彼らのやり取りも面白いが、辞書作りというのはどれ程根気がいる作業で、

どれ程心を込めて考え抜かれたものなのか、そちらの方に惹きつけられた。

 

辞書作りは、時間がかかる割には利益が少ないそうで、会社からの理解はあま

り無いという。しかし、“膨大な校正刷りのチェック” “用例の原典のチェック”

 “追加や削除があればページあわせ”等々、気の抜けない綿密な作業の連続で、

その上「辞書は完成してからが本番」というのだから、めまいがしそうだ。

 

この言葉は特に印象に残った。…「翻って日本では、公的機関が主導して編んだ

国語辞典は皆無です-(略)-しかし今は これで良かったのだと考えてます。公金

が投入されれば、内容に口出しされる可能性が無いとも言えないですから。」

 

舟を編む』は松田龍平の主演で映画化されていて、私はそちらを先に観たのだが

漫画も映画と違った面白さがあって良かった。