ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『マネー・ショート (主演)クリスチャン・ベール』 感想 

[内容]

リーマンショックの前にいち早く経済破綻を予見して、大勝負に出た投資家達

の物語。副題は『華麗なる大逆転』 (2015年製作国アメリカ) 映画賞受賞

[感想]

2008年の世界金融危機(リーマンショック)の時に、アメリカでは何が起きていた

のかがよく分かる映画。 要所要所で、突然出演者が観客に向かって理解の助

けになる解説を始めるのだが、これがどこかユーモラスで楽しい。

 

2005年のアメリカは住宅バブルに沸いていたが、4人の男達が、ヒット商品の

CDО(債務担保証券)にはサブプライム住宅ローンが含まれていることで、破綻

寸前であることに気付く。そこで彼らは、市場が下がる方に賭けて大勝負に出た。

 

4人の職業は、①金融トレーダー ②ヘッジファンド ③銀行員 ④引退したトレ

ーダーなどで、やり手の男達のそれぞれの物語が平行して進んでいく。

 

誰もが彼らの予測を否定する中で、結果が出るまでの本人達の精神的なキツさ

や緊張感がヒシヒシと伝わってくる。途中、金融界やバブルに踊った人達の考え

違いや顛末も見せられるが、欲が絡むと人は道理を忘れてしまうようだ。例えば

 

・銀行は収入欄がゼロの人にまでサブプライムを売っていた。

・不当な格付けをしていた信用機関の担当者の言葉…「AAAにしなければ、他

 の格付け会社に仕事を取られてしまう。」   等々

「家は財産ではなく借金だ」というのは、ローンが残ってる間はその通りだと思う。

 

最終的に4人の男達は大勝負に勝つのだが、何故かあまり満足そうでも幸せそ

うでも無い。その中の一人は、大金持ちになれると はしゃぐ若者に「よく考えろ。

俺たちが勝てば国民は、家や仕事や老後資金を失う。」と諭してさえいる。

 

4人には実在のモデルがいるそうだが、実際に莫大な富を得た本人達は、本当

のところはどう考えているのだろう。  

マネー・ショート華麗なる大逆転 (字幕版)