[内容]
7年もの間軟禁されていた女性が、息子と共に救出されて立ち直る迄のヒュ
ーマンドラマ。 (2015年 製作国 アメリカ他) 映画賞受賞
[感想]
この映画は「フリッツル事件」を原作とした小説をもとに製作されたものだが、
実際の事件よりずっと救いのある内容で、数々の賞を受賞している。
※フリッツル事件 =2008年にオーストリアで、17歳の時から24年間自宅
の地下室に閉じ込められ、父親の子供を7人出産していた女性が救出された。
小さな天窓があるだけの狭くて薄暗い部屋で暮らす、若い母親ジョイと5歳の
息子ジャック。部屋にはベッド・テレビ・小さなお風呂と流し台があり、2人は仲
良く暮らしていたが、この部屋から一歩も外に出たことがなかった。ジャックは
テレビの世界は本物ではなく、この部屋が世界の全てだと聞かされて育っていた。
時々男が生活物資を持ってやって来るが、ジョイは仕方なしに従っていて、息子
には触れさせない。ある冬の朝目覚めると、腹を立てた男によって部屋の電気
が止められていた。実はこの部屋は小さな物置小屋で、ジョイは7年前この男に
誘拐され、ジャックが産まれた後もずっと小屋に軟禁され続けていたのだった。
ジョイは子供だけでも逃がそうと決心し、ジャックに「本当の世界は外にある。
あいつを騙すのよ。」と言って、怖がるジャックに死んだふりをさせ、男に息子
の“死体”を運び出させる。
幾つかの幸運が重なって、ジャックは無事警察に保護され、男は逮捕。ジョイも
救出されて母の家に帰ることが出来たが、ここから別の苦しみが始まる。
事件が大きく報道された為、家の周りは報道陣に囲まれ、人々の好奇の目と
マスコミの心無い質問に、ジョイの心は壊れていった。
ジョイが立ち直るまでに色々な事が起きるが、2人を辛抱強く支える家族が素晴
らしく、ジャックの成長と健気さにも心打たれた。希望のあるラストが嬉しい。