[内容] (ダイヤモンド社)
テーマごとに公募して作られた本で、この動物編には35話収められている。
[感想]
シリーズは18巻まであり、本書だけでも、アメリカ国内から何千通もの応募があっ
たそうだ。 ロングセラーも頷ける良書で、どのエピソードも動物と人間の無条件の
愛が素晴らしく、何度も涙を誘われた。
以下に一部を紹介。
◎瀕死の野生の狼が、3歳の幼い女の子に命を助けられて、家族になった話。
◎燃えさかる家に5回も飛び込んで、大火傷を負いながら子猫を助けた母猫の話。
◎保護した子犬が、盲目になった先住犬を、自ら盲導犬のように守り導いていた話。
中でも一番印象深かったのは、アフリカの奥地で働く獣医師の話『ドクトーラ』だ。
獣医学校を卒業したA氏の、最初の任務地はアフリカだった。
着任して1カ月ほど経ったある日、遠くからやって来た高名な医学者からの依頼で、
病気の6頭の子犬の集中治療にあたった。
しかし治療の甲斐無く子犬たちは次々と死んでいき、A氏が諦めかけた1週間目
の朝、残った2匹が、ガリガリにやせ細った体で奇跡的に回復し始めた。
その後彼は毎月、出張の度に医学者と犬達に会いに行き、親交を深めていった。
数年後、いつものように彼らの家に向かっていた時のこと。A氏は狂犬病のハイエナ
に出くわしてしまった。絶体絶命と思われたが、そこへ突然あの犬達が現れて彼を救
ってくれた。しかし壮絶な闘いの直後、2匹は大怪我をしたまま忽然と姿を消す。
A氏は犬達を治療しなければと、医学者の家へ急いだ。だが彼が案内されたのは
墓地で、彼らは3日前に亡くなっていると告げられる。驚いて2匹のお墓の前で泣き
じゃくるA氏に、医学者が言った。
「(以前)私は言いました。彼らはあなたにご恩返しするだろうと。」