7~8年前、知人女性(Eさん)の家の近くの海岸に、高齢の男性が小さな
テントを張って、猫と暮らすようになった。以下はEさんから聞いた話だ。
そこはあまり人が遊びに来るような場所ではなく、Eさんは暫く様子をみて
いたが、ある日思い切って男性に声を掛けてみた。聞くと県内の人ではなく
以前は県外で働いていて、そこに縁者も居るが頼れる関係では無いという。
いずれにせよこんな所で冬は越せないので、Eさんは彼が住めるアパートを
探しながら、役場に生活保護の相談にも行ったそうだ。しかし、どこもホー
ムレスには部屋を貸したがらず、生活保護もこのままでは難しいと思われた。
結局福祉関係のボランティアの人が、アパートの保証人になってくれて、や
っと生活保護の申請も通り、Eさんは男性が入居する時のお手伝いもした。
私は、個人でここまでする人がいるのかと、只々驚いて話を聞いていた。
つい先日神奈川県で、駅の通路に住み着いてるホームレスへの苦情が相次い
だ。ホームレスは努力不足・自己責任だと言われるが、しかし今 日本には
コロナ禍で仕事も住まいも失った人が大勢いる。
彼らに共通してるのは、理由は様々だが孤立無援であることだ。行政は支援を
拡大したが全然足りないそうで、しかもホームレスは更に増えると予想されている。
日本に来た外国人は、ホームレスが物乞いをしないことに、驚くそうだ。
乞食行為は軽犯罪だというのもあるが、日本には“恥”の文化があり、彼ら
にも自尊心があるからだと言われる。
ホームレス支援団体も、彼らが支援の網からこぼれ落ちることなく、一日も
早く自立出来るよう頑張っているが、現状は厳しいという。