[内容]
極貧の少女が、理解ある教師との出会いにより逆境から立ちあがる迄の物語。
(2009年 製作国アメリカ)映画賞受賞
[感想]
1987年、ハーレムで暮らす16才の黒人少女プレシャスは超肥満で、中学に
通ってはいるが読み書きは殆ど出来なかった。生活保護を受けてる母親と2人
暮らしだが、母親は仕事を探すこともせず、家事は全部娘にさせて自分は毎日
テレビの前でゴロゴロ。そのくせ、いつも娘に毒づき暴力をふるっていた。
ある日プレシャスは、妊娠してることがバレて退学になる。だが、校長にフリ
ースクールを勧められ、母親に内緒で学校に通い始める。
プレシャスはいつも「変わりたい」と思っていた。そして嫌なことがあると、
スターになった自分を空想して現実逃避をしていた。その空想画面が何度か
映し出されるのだが、そのギャップが微笑ましくも痛ましい。
フリースクールは、人も環境も前の学校とは全く違っていた。
学校のソーシャルワーカーとの個人面談の時に、家庭のことを質問された彼女
は、もう嘘は嫌だと思って全部ぶちまけた。お腹の子の親は実は自分の父親で
あること、もう1人ダウン症の子がいることも。
それからのプレシャスは、それぞれ問題を抱えた生徒達と一緒に、よく喋り
よく笑うようになった。担任(女性)のお陰で学ぶ喜びも知る。
その後無事に赤ん坊を出産するが、逆上する母親から逃れるため家を飛び出す。
そんな彼女の身柄を引き受けてくれたのは担任の教師だった。そこで子供を育
てながら勉強を頑張り、担任やその伴侶、同級生達との交流で少しずつ成長し
ていく。しかしある日、父親にエイズをうつされていたことを知り自暴自棄に。
それからの彼女の、胸のすくような大きな決断と勇気には、心から拍手。
彼女と同じような境遇の女性には、色んな意味で刺激的な映画だと思う。