[内容]
黒人だけが住む島に赴任した白人教師と生徒達の、実話を元にしたヒューマン
ドラマ。 (1974年 製作国アメリカ)
[感想]
元教師だった作家の自伝的小説が映画化されたもので、地味に良い映画だった。
コンロイが赴任した島の学校の生徒は、誰一人読み書きが出来ず、数学も歴史
も音楽も知らなかった。
校長は「子供達は、白人を喜ばせるように生きていかなきゃいけない」「叩いて厳
しく躾けろ」と言うような人間だったが、驚くのが校長もまた黒人で、しかも女性だ
ったことだ。当時の黒人女性としては別格の彼女も又、黒人としての呪縛から解き
放されていないことに驚かされるが、それほど差別が酷かったということだろう。
コンロイは教師として子供達と本気で向き合い、それでいて接し方はフランクだ。
彼の授業はとてもユニークで、教室から飛び出して色々な体験をさせ、島に暮ら
していながら泳ぐ習慣のない子供達に泳ぎも教える。
可笑しかったのが、まるで軍隊の行進のように、歩きながら先生が大声で問うと
生徒達も全員大声で答えるという勉強方法。こんな調子で子供達は、どんどん
知識を吸収していき、彼を慕うようになる。
そんな型破りの教師に、教育委員会は渋い顔。学校を辞めさせることを匂わせ、
これには生徒だけではなく村人も猛反発するが、コンロイは理解の無い監察官
からクビを言い渡される。
結局島を去ることになるのだが、彼は生徒たちに学業だけではなく、大きなもの
を残していった。「人間としての誇りを持て」という教えは、その後の彼らの人生
に少なからぬ影響を与えた筈で、本当に素晴らしい教師だった。