ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

なぜ日本は若者に冷酷なのか (山田昌弘)東洋経済新報社

[内容]
1990年後半から日本の若者が弱者に転落していった、その原因と実態を分析。
副題は『そして下降移動社会が到来する』

[感想]
著者は、「パラサイト・シングル」「婚活」の命名で有名な社会学者。
低賃金のため自立できない若者が増えている実情を、教育、年金制度、少子化
など様々な角度から切り込んで警鐘を鳴らしている。

 

「もはや教育は“投資”ではなく、正規雇用へのルート確保のための投機となって
いる。」と言い、教育は新卒一括採用慣行から脱皮すべきと、教育機関をリスク別
に分けて解説。 本書は2013年の出版だが、新卒で正社員になれなかった人や途中

退職した人は、その後正社員としての職を得るのが難しいのは、今も変わらない。

 

 本書では他にも、多くの人が疑問に感じている問題を取り上げている。例えば
・年金世代の老人を弱者と決めつけ、非正規の低所得者からも一定額の保険料
 を払わせようとする不条理。
・長期間非正規雇用で働くなら、保険料を払わず高齢時に生活保護を受ける方が
 得だという現実。
・日本の高齢者と結婚して、母国で夫の遺族年金で暮らすアジア人女性。
・正社員の妻は3号被保険者として保険料を納めなくてよい。    等々

 

2019年現在65歳以上の高齢者(有権者)の割合は29%弱で、高齢化率はまだ
上昇を続けるため、高齢者優遇の政策は暫く続くと思われる。
しかし私ら高齢者が皆単純にそのことを喜んでるわけではなく、子や孫の
世代にツケを負わせることに、ジレンマを感じてる人も多い。

 

政治家は、自分に投票してくれる人たちの声を聞く。

今は懐の豊かな高齢の親や、祖父母からの援助で助かってる人も多いと聞
くが、まずは若者達が自分の将来を見据えて選挙に行くことだ。