[内容]
NASAのマーキュリー計画を支えた、実在する3人の黒人女性の物語。
(2016年 製作国 アメリカ)映画賞受賞
[感想]
マーキュリー計画 = 1958~1963年にかけて実施された、アメリカ初の
有人宇宙飛行計画のこと。
キャサリンはまだ6年生だが、推薦により全額奨学金で高校へ飛び級するほ
どの、天才的な頭脳の持ち主だった。長じて数学者となり、1961年には3人
の子供を抱えながら、NASAで軌道の計算士として働いていた。
黒人女性部署のドロシーと、エンジニアのメアリーは気心の知れた友人だ。
当時の大統領はジョン・F・ケネディで、ソ連とは冷戦状態。
キング牧師が黒人差別と闘っていた時代で、NASAで働く黒人女性達も、人種
差別・性差別を受けていた。しかし差別が当たり前のこの時代、白人の同僚も
上司も、彼女達の苦しみには全く無頓着だった。
この頃、ソ連のガガーリン少佐が初の有人宇宙飛行に成功し、遅れをとった
マーキュリー計画チームは、上層部から強いプレッシャーをかけられる。
ある日キャサリンが、責任者から「君は席に居ないことが多い。」と、皆の前
で叱責された。今迄は耐えてきたが、感情が爆発してしまったキャサリンは大声
で反論する。「黒人の私は、何百mも離れた黒人用のトイレしか使用できない。」
「黒人女性の給料は不当に安い。」「黒人は職場でも、のけ者にされている。」
何も気づかずにいた責任者は、これを機に差別を撤廃するべく強硬手段に出る。
(実際のNASAでは酷い差別は無かったが、映画ではあえて強調したとか。)
その後、観客は何度もハラハラさせられるが、彼女達の頑張りは、誰もが認める
素晴らしい結果に繋がる。それぞれの夫や子供など家族との絡みも楽しく、良い
映画だった。最後に、実際にNASAで働いていた本人たちの映像が流れる。