先日『イタコの悪口を言ったら』を書いたが、これもその日のことだ。
私とBさんは、テーブルを間に向かい合って椅子に座っていた。
彼の3mほど後ろには大きな窓があり、明るい陽射しが差し込んでいた。
その時突然、窓際の天井左側から薄いモヤのようなものが現れ、広げた反物の
ようにゆっくりと天井を這い出した。
私が驚いて固まったまま、Bさんに「スミマセン、今、黒いモヤが天井を這っ
てるんですが…。」と言ったところ、振り向きもせず「そういうのは何処にで
もいます。焦点を合わせず知らんぷりしていて下さい。」と言い、そのまま何事
も無かったかのように、話の続きを始めた。
次に黒いモヤに出会ったのは、60代前半の真夜中のことだ。
但し前回とは形も種類も全く別物。
私はぐっすり眠っていたのだが、同じ部屋の壁際で寝ていた飼犬のムクに、顔
をトントンと叩いて起こされた。私は「どうしたの~。」と寝ぼけ眼で応えて
目を開けたが、ムクは私の横にはおらず相変わらず壁際で寝ている。
何だ夢かと、トイレに行く為に立ち上がったその瞬間、私の体の左後ろ側にい
る “黒いモヤのような人間”に気付いた。自分の後ろが見える筈は無いのだが、
それは中年の少し小柄な男性のようだった。
以前Bさんから、皆気付かないだけで何処にでも居ると聞いていたので、怖く
はなかったのだが、ここまで近かったら放っとくわけにはいかない。袈裟懸け
に空(クウ)を切ろうとしたが、“それ”は後ろに居るから効かないかもしれない。
私は強い口調で「お前誰や!あっち行け!」と言った。そうしたら本当にスッ
と消えてしまった。
※息子も私も、Bさんとは当時何回か会っただけのお付き合いだったが、今回
ブログに書くにあたり息子に聞いたところ、2年前に病気で亡くなられたと
言われ大変驚いた。 Bさん、本当に有難うございました。(合掌)