[内容]
ベテランの弁護士が、人としてどう生きるべきかを実例を交えて語っている。
(西中 務) ぱる出版
[感想]
著者は10年間「命の電話」のボランティアをしており、その他にも大阪PHP
友の会の会長など、様々な社会貢献をしてきている。
「幸せになる為の基本は、感謝、報恩、利他、謙虚、品性(徳を積む)、天命(運
を天に任せる)。」と言い、本を読むだけでは駄目だと、行動することの大切さも
説いている。
又、争うよりも和解の道を探すことの方が大切で、もし裁判に勝っても、経済的
に許すなら、あえて賠償は求めない方が真の利益につながると言う。
よく言われるように、犯罪報道に登場する弁護士には “クライアントを勝たせる
為には、黒も白にしようとする” という印象の人が多いが、著者の場合は「この
人は、僧侶と兼業なのかしら?」と、途中でプロフィールを読み直してしまった
ほど真逆だ。
「親に対する孝養は何よりも兄弟姉妹が仲良くすることだが、これが当たり前の
ようで意外と難しい。」というのはその通りのようで、昔、知人が弁護士に相談
するのに同伴した時のことを思い出した。
知人は、親の介護に非協力的な兄夫婦に遺産を渡したくない、と怒っていたの
だが、その時の弁護士も「遺産相続で争う家庭は、その前に殆どが介護問題で
もめてます。」と言っていた。
本書は全部で83項目あり、書かれていることは昔から言われているものも多
いが、それを「知ってるよ」と流すか、自分を省みながら読むか…。