[内容]
不幸を抱えてしまった普通の人達への、インタビューをまとめたもの。
[感想]
本の題名は、石川啄木のあの有名な歌から引用。
登場する人物は、興味を持ってこちらからお願いした人、手紙やメールで
連絡をくれた人など様々で、著者が彼らの家などに出向いて質問に答えて
もらっている。
5階から転落して失明してしまった、長期入院中の男性
元は大手企業の社員だった路上生活者
仕事が無くなったのに、毎日出勤しているネガ編集者
妻に出て行かれ、一人で子供を育てている父子家庭の男性 他
皆、大変だった時のことや今の気持を淡々と語っているが、それぞれ苦しい
時を乗り越え、現在の境遇に折り合いをつけて生きている。
中学の2年間登校拒否で、今も心に不安を抱え「そういうとこ友達に見せ
ちゃダメなんです。」と涙を落とした定時制高校の男子生徒。彼はその後
元気にやっているのだろうか…。
著者が追及するテーマは『自尊心が粉々になりそうなとき、人はどのように
して自分を支えるのだろうか』というもので、インタビュー後の感想には
「人はみんな自分を励まして生きてる。」と書かれていた。
人生、良い時も悪い時もあるが、どん底を味わった人間は強いと言われる。
しんどくても投げ出さず、いつか次のステップに進めると信じて頑張ることは
大事だ。しかし本書を読んで改めて、今の状況を受け入れて気持ちを切り替え
る柔軟性も必要…ということを感じた。