ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

<漫画>邪眼は月輪に飛ぶ (藤田和日郎)小学館

[内容]

その目で見られただけで死んでしまうという、恐ろしいフクロウと人類との戦い。

[感想]

アメリカ軍によって、大量に人間を殺せる武器にされたフクロウのミネルヴァ。

そのフクロウが東京湾上で逃げてしまい、大勢の人々が死んだ。

 

そこでアメリカは、日本の山里に住む一人の年老いた猟師に助けを求める。

ミネルヴァは13年前にも脱走しており、その時に戦いを挑んだのが、猟師の

鵜平とその妻だった。

 

しかし鵜平は、その戦いで妻を亡くしており、「あのフクロウを殺すのは無理だ。

奴は、殺気の来る道を見る。」と言って一度は断る。

この後、自衛隊も巻き込んでの壮絶な戦いが繰り広げられるのだが、無気力だっ

たこの老猟師の強さと迫力が半端ない。

 

鵜平には養女がおり、この娘も妻と同じ“能力者”だ。

娘はずっと彼を否定してきたが、共に戦う内に養父の本当の想いを知り、わだか

まりの心が少しずつとけて行く。

 

このフクロウ、自分の意思とは関係なく見たものは全部殺してしまう為に、ツガイ

の相手さえ持てず、しかも周りは自分を殺そうとする者ばかり。

どう考えても哀れ過ぎで、成敗されるべきはミネルヴァを化け物に変えてしまった

人間たちも同じだろう。

 

ストーリーは緊張の連続なのに、時々笑わせてくれる展開は、著者の別作品

うしおととら』を 思い出させる。面白い漫画だった