[内容]
13世紀半ば、モンゴル軍に国を滅ぼされながら、最後まで戦った男の物語。
(2017年 製作国 ロシア)
[感想]
コロヴラートはロシアの都市国家リャザンの、腕の立つ近衛兵だ。
一族は彼が生まれた年に、モンゴル帝国チンギス・ハーンの孫バトゥによって
殆どが惨殺されていた。その為物心がつく頃には、強い兵士になることが彼の
望みになっていた。
近衛兵の男が、少年となったコロヴラートを自分の娘ナスチャの馬の世話係
として取り立ててくれが、その直後に、モンゴル軍に襲われる。
それから13年後。コロヴラートはベッドに手足を縛られた状態で目が覚めた。
毎朝悪夢で暴れる為で、妻となったナスチャに「あなたは殺されかけたけど
助かったのよ。」と説明されて、やっと記憶を取り戻すことを繰り返していた。
ある日又もやモンゴル軍の攻撃を受けた為、コロヴラートと十数名の随行者で
バトゥの陣営に貢物を持って行くが交渉は決裂。故郷への逃避行が始まる。
冷酷なバトゥを演じるのはアジア系の俳優で、化粧・衣装が妖しく迫力のある男だ。
彼を取り巻く男たちも又、独特の雰囲気を醸し出している。
極寒の中やっと帰り着いた故郷は、バトゥ軍によって焼き尽くされ妻子も殺さ
れていた。残った者で反撃を決意するが、こちらの兵はたったの24人。
近隣の国に援軍を頼むも、最初はことごとく断られる。
最後の一人になっても屈しない男たちの戦いが一番の見所だが、途中で援軍に
加わった“巨大なクマを操る男”や、悪霊に扮して、怯える敵兵を脅かすシーンが
面白い。大ぞりの孤児たちが逃げ切ったシーンでは、私も思わず拍手。
画面が殆ど厳冬のため、より一層戦いの厳しさが伝わった映画だった。