[内容]
著者は工学博士で、発想の転換をして全機して生きよと説いている。
[感想]
全機 =仏教用語で、持って生まれた“はたらき”を余すことなく発揮すること。
著者はロボットコンテストの創始者で、“ロボコンの父”と言われている。
私も以前テレビで、学生のロボットコンテストを見たことがあるが、作品の面白
さもさることながら、若者たちの本気が素晴らしかったのを思い出す。
本書には「失敗競技会」 「ボートで山を越える」など、面白い話が盛沢山。
とにかく発想がユニークで ものの見方が面白く、“不まじめ”と“非まじめ”は
全く別物ですよと、非まじめの大切さを説いている。
※非まじめとは、常識に縛られずに視点を変えるという意味で、そうすることに
よってアイデアが生まれ、道が開けるという。
また、“まじめ”の功罪や、“無駄は役立つ”など、生真面目だけでは視野が狭く
て行き詰まってしまう、ということも書いている。
「満足のいかない現象であってもそれをNGと思ってはいけない。そこに役立ち
うる尊い現象がある。」
「悪は悪でも-(略)-それらとの相互関係には寸分の狂いもなく制御が働いている。」
など、仏教から引用された言葉も多い。
ちなみに著者は仏教関係の本も出版しており、「自然現象には矛盾がなく、見事
に調和している」と語り、本書でもそれらについて解説している。
35年前に書かれた本だが、全く古さを感じさせず、特に若い人に読んでほしい楽
しい本だった。