ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

「非まじめ」のすすめ (続) (森政弘)  講談社文庫

[内容]

著者は工学博士で、発想の転換をして全機して生きよと説いている。

[感想]

全機 =仏教用語で、持って生まれた“はたらき”を余すことなく発揮すること。

 

著者はロボットコンテスト創始者で、“ロボコンの父”と言われている。

私も以前テレビで、学生のロボットコンテストを見たことがあるが、作品の面白

さもさることながら、若者たちの本気が素晴らしかったのを思い出す。

 

本書には「失敗競技会」 「ボートで山を越える」など、面白い話が盛沢山。

とにかく発想がユニークで ものの見方が面白く、“不まじめ”と“非まじめ”は

全く別物ですよと、非まじめの大切さを説いている。

※非まじめとは、常識に縛られずに視点を変えるという意味で、そうすることに

よってアイデアが生まれ、道が開けるという。

 

また、“まじめ”の功罪や、“無駄は役立つ”など、生真面目だけでは視野が狭く

て行き詰まってしまう、ということも書いている。

 

「満足のいかない現象であってもそれをNGと思ってはいけない。そこに役立ち

うる尊い現象がある。」

「悪は悪でも-(略)-それらとの相互関係には寸分の狂いもなく制御が働いている。」

など、仏教から引用された言葉も多い。

 

ちなみに著者は仏教関係の本も出版しており、「自然現象には矛盾がなく、見事

に調和している」と語り、本書でもそれらについて解説している。

35年前に書かれた本だが、全く古さを感じさせず、特に若い人に読んでほしい楽

しい本だった。