当時19歳の息子が、繁華街を自転車で走っていた時のことだ。
横から不意に車が飛び出してきて、息子が咄嗟に自転車のハンドルを切った
ところへ、急ブレーキをかけながら軽トラがぶつかって来た。
車から降りてきた軽トラの運転手に「大丈夫ですか?」と聞かれ、肩をしたた
かにぶつけて倒れていた息子が、とっさに「大丈夫です。」と答えたところ、
運転手は車に戻ってそのまま走り去ってしまった。
飛び出して来た方の運転手(女性)も、痛みで肩を押さえる息子と目が合った途端、
顔を引きつらせて逃げるように走り去ったという。
酷い怪我でなくて良かったと思ったが、しかし翌朝は痛みで腕が上がらなくなっ
ていた。すぐに病院に連れて行き、事故なので私も一緒に話を聞くことになった。
シャツを脱いだ息子の上半身を診た医者は、「いい体してるな~。普通これだけ
酷く打ってたら骨折してますよ。」と笑い、毎日大学で剣道の部活に励んでいた
息子も苦笑い。私一人が、そんなに酷かったのかと青くなっていた。
このケースの場合、トバッチリとはいえ軽トラの運転手は法的には“過失アリ”
となり、いくら「大丈夫」と言われても息子を置いて立ち去ってはいけなかった。
又飛び出しの運転手の方は、たとえ自転車と接触していなくとも、息子が危険を避
ける為に他の車に衝突されているので、やはり “過失アリ”となり、もし骨折して
いたら、2人共ひき逃げになる可能性もあったらしい。
事故直後は大丈夫だったのに、その後体に症状が出たという話はよく聞く。
この経験で、何も分からないうちに「大丈夫です。」と言うのはNGと知った。
万が一自分が加害者になった時は、きちんと常識のある対応をしたいと思う。