「内容」
東日本大震災のあの日、大津波を皆で生きのびた釜石の生徒達のドキュメント。
「感想」
教師たちの的確な判断と、「逃げろ~!」「津波が来るぞ~!」と声を掛け、小さい
子の手を引いて走った中学生たち。よく頑張ってくれた、どんなにか怖かったろうと、
読んでいて胸が詰まった。絵にも独特の臨場感がある。
宮城県石巻市立大川小学校の遺族が起こした“津波訴訟”で、10月11日に最高裁
が「学校と教育委員会の事前の備えが不十分だったことが惨事を招いた」として、
市と県の上告を棄却し、遺族側の勝訴が確定した。
※ 大川小学校津波訴訟 =東日本大震災で、大川小学校の児童74人が津波の
犠牲になり、児童23人の遺族が市と県に損害賠償を求めて訴訟を起こしたもの。
遺族の訴訟は、「市や学校側の説明に、遺族の気持ちを踏みにじるような事実の
ねじ曲げや隠蔽があり、事実の究明と子供たちの死を無駄にしない為」だったという。
大川小学校に関しては当初から、教師ら(避難住民含)が2派に分裂して口論を続け
た結果、一部教師の判断ミスにより起きた人災ではないかと言われていた。
だがあれは未曾有の災害で、死者・行方不明者18,000人の殆どが津波の犠牲者だ。
大川小の教師10名も亡くなっており、彼らを責めるのは酷だという意見もある。
しかし、大川小学校と同じ石巻市にある“門脇小学校”では、在校児童全員を裏山
に避難させ、一人の犠牲者も出していないという厳然たる事実がある。
最高裁は、あの状況での教師個人の責任は問わず、だが学校側に過失があったとし
て、全国の学校に今後の強い安全管理義務を課したということだ。
山に逃げたものの連れ戻されて亡くなった児童が、「ここにいたら死ぬ」と教師に
泣きながら訴えていたという証言が切なすぎる。
自分の命は自分で守るという意味の“ 津波てんでんこ ” 全ての人に知ってほしい。