「内容」
南極の観測隊に同行して、1年半料理人として食事を提供した男性の物語。
(2009年 製作国 日本) 映画賞受賞
「感想」
海上保安庁に勤める西村は、南極行きが決まっていた同僚が交通事故に遭った
為、上司の命令で渋々代役を引き受けるハメになった。
南極はペンギンもウィルスも住めない極寒の地だ。
8名の隊員は仕事も性格も、抱える事情もバラバラだが、そんな中で共通してい
るのは、三度の食事が大きな楽しみなことだった。
しかし狭い建物の中でトイレは丸見えなど、皆和気あいあいとしているようで結構
ストレスが大きい生活を送っていた。
観測隊の仕事の場面は少ししか無いが、南極の仕事の厳しさ、家族恋しさの気持ち
は画面からビンビン伝わって来る。
中華からフランス料理まで、西村の心づくしの料理は素晴らしいが、何よりも彼の
ちょっとやそっとの事では怒らない穏やかな性格が良く、堺雅人のおっとりとした
雰囲気がピッタリと役にはまっていた。
料理の山場は、豪華料理が並んだ時ではなく、材料が底をついてしまったラーメン
の麺を、西村が工夫して手打ちで作って出した時だ。
このDVDを一緒に観ていた小学生の孫娘が、「おじさん達、可愛い。」と笑うほど、
一杯のラーメンに感動する顔が良かった。
ラストに、帰国してからのそれぞれの日常が映し出されるのだが、心配だった人達
も皆ホッとする結末で、最後までゆったりと楽しめる癒し系の良い映画だった。