「内容」
フィリピンの巨大ゴミ捨て場で、再生可能なゴミを転売して生活する人達の
ドキュメンタリー。 (1995年 製作国 日本) 映画賞受賞。文部省選定作品。
「感想」
この映画では、幾つかの家族と子供達に焦点を当て、彼らの毎日の生活と
その後の人生を追っている。完成までに6年の歳月を要したそうだ。
撮影された巨大ゴミ捨て場はマニラ市の北部にあり、その周囲に住み、ゴミの
転売で生計を立てている人達の数は 約21,000人。
掘っ立て小屋で家族と共に暮らす彼らは、皆不法占拠者で、大人も子供も毎朝
早くに、大きなカゴを背負ってゴミ拾いに出るのが日課だ。
このゴミの山は、メタンガスの自然発火により所々から煙が立ち上がっている為、
”スモーキンマウンテン”と呼ばれている。
近くのゴミ溜めのような川では、犬の死体や時には人間の死体が浮いている時
もあり、それを「もう慣れた」という子供たち。
援助団体から補助を受けて学校へ通う子もいるが、大多数の子は就学していない。
ストリートチルドレンもいる。これが人間の生活かと、見ていて胸が痛い。
子供達はカメラに向かってよく笑い、逞しい。
しかしここでは毎年1000人の赤ん坊が産まれ、その内3割の子が肺炎や伝染病
で死んでしまうという。若者の喧嘩や殺人事件も多い。
このゴミ山とスラムは、1995年 政府によって強制的に閉鎖され、今は無い。
しかし、スラムはゴミ捨て場所と共に移動しただけで依然として存在しており、
今もゴミ山から売れるものを探して、極貧生活を続けている人達が大勢いる。