「内容」
動物達の高い知性と豊かな感情が、美しい写真とエピソードで綴られている。
「感想」
魚が痛みに反応し、長期記憶を持ち、協力したり仲直りしたりする話。
渡り鳥のガンが、ケガや病気の仲間の為に、回復するか死ぬ迄付き添う話。
仲間の死を悼む動物たちの話。 等々
この本で紹介されているのは、動物たちのこのような想像以上に高度な知性と
繊細な感情、思わず笑ってしまう行動などが殆どで、その面白さは、生き物を
ここまで根気よく観察して来た人達に敬意を感じるほどだ。
写真も豊富で、しかもハイレベルなので何度でも楽しめる。
しかしそんな中で一つだけ、著者のブラックジョークとは思えない発言が。
「チンパンジーは、SF映画『猿の惑星』のように世界制覇を果たすこと
は決して無い。何故なら別の霊長類である人間に滅ぼされてしまうから。」
このくだりを読んで、昔テレビで見た『みんなの願い』(週刊ストーリーランド)
という短編アニメを思い出した。 (以下、アニメの要約)
ある日創造主から、「地球で最も多い願いを一つだけ叶えてあげよう。」と告げ
られ、世界中で論争が始まった。だが混乱は深まるばかりで、結局世界の平和の
為に「皆で、願いはいらないと願おう。」ということになった。
しかし創造主の約束が果たされるその日、全人類が一瞬にして消滅してしまった。
実は創造主が言った「最も多い願い」には、人間だけではなく、地球上の全ての
動物たちの願いも含まれていたのだ。
著者があえて『猿の惑星』を持ち出したのは、この愛すべき動物たちに携わる人間
として、誰よりも現実を知り強い危機感を抱いていたからだろう。