ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

数をかぞえるクマ、サーフィンするヤギ (ベリンダ・レシオ) NHK出版

「内容」

動物達の高い知性と豊かな感情が、美しい写真とエピソードで綴られている。

「感想」

魚が痛みに反応し、長期記憶を持ち、協力したり仲直りしたりする話。

渡り鳥のガンが、ケガや病気の仲間の為に、回復するか死ぬ迄付き添う話。

仲間の死を悼む動物たちの話。 等々

 

この本で紹介されているのは、動物たちのこのような想像以上に高度な知性と

繊細な感情、思わず笑ってしまう行動などが殆どで、その面白さは、生き物を

ここまで根気よく観察して来た人達に敬意を感じるほどだ。

写真も豊富で、しかもハイレベルなので何度でも楽しめる。

 

しかしそんな中で一つだけ、著者のブラックジョークとは思えない発言が。

チンパンジーは、SF映画『猿の惑星』のように世界制覇を果たすこと

は決して無い。何故なら別の霊長類である人間に滅ぼされてしまうから。」

 

このくだりを読んで、昔テレビで見た『みんなの願い』(週刊ストーリーランド)

という短編アニメを思い出した。  (以下、アニメの要約)

 

ある日創造主から、「地球で最も多い願いを一つだけ叶えてあげよう。」と告げ

られ、世界中で論争が始まった。だが混乱は深まるばかりで、結局世界の平和の

為に「皆で、願いはいらないと願おう。」ということになった。

しかし創造主の約束が果たされるその日、全人類が一瞬にして消滅してしまった。

実は創造主が言った「最も多い願い」には、人間だけではなく、地球上の全ての

動物たちの願いも含まれていたのだ。

 

著者があえて『猿の惑星』を持ち出したのは、この愛すべき動物たちに携わる人間

として、誰よりも現実を知り強い危機感を抱いていたからだろう。