20年ほど前、近所の奥さんからノラ猫の相談をされた時のことだ。
「最近ノラの子猫が出没するようになり、近所の若いお母さん達が、子供と一緒に
気まぐれに餌をやってる。でも可哀想と言うわりには、誰も引き取ろうとしない。」
それで私は彼女に、子猫を捕まえて連れてきて下さいとお願いした。
難儀したようだが、1時間ほどして生後3か月くらいの可愛い子猫がやって来た。
取りあえず息子が以前使っていた部屋に置き、慣らす為に頻繁に相手をしていた。
それから何日か経ったある日のこと。
当時うちには飼猫が2匹居たのだが、1匹の声が少しかすれ気味になり、私は
まさか病気とは思わず、「あれ~、ペペはお声が出てませんよ~。」と笑った。
その翌日、今度はナナの声もかすれだして、私は慌てて病院に走った。
診察の結果「おそらくカリシウイルスで、子猫からうつったのだろう。」と言われた。
幸運なことに子猫は我が家に来る前に自力で回復していて、うちの子達も予防接種
をしていたお陰で、この程度で済んだらしい。
実は子猫は一度も部屋から出したことは無かったのだが、その部屋にはドアと同じ
サイズの木製の柵が取り付けられていて、3匹はよくこの柵越しに鼻をくっつけて、
お互いの匂いを嗅ぎ合っていた。
こんなことは後にも先にもこれ一度きりだったが、この時以来私はノラ猫を保護
した時はまず動物病院に入院させ、健康診断をしてから家に入れるようになった。
(まずは病院での検査で、隔離できる場合入院は不要です。)
子猫はこの3週間後、無事に隣町の(先住猫の居ない)家に貰われていった。