「内容」
著者がユニセフ親善大使として18ヵ国を訪問した時の記録。2015年出版。
「感想」
(この感想文には、1997年出版の前著からの引用も含みます。)
「神様って本当に居るのかな」と呟く著者の気持ちが強く伝わって来る内容で、
長い内戦で混乱しているアフリカの国々、飢え・マラリア・HIV・人身売買・奴隷
のように働かされる子供達の話が続く。
縫いぐるみの中に仕掛けられた爆弾。
アフガニスタンの地雷被害者の半数は子供で(2001年の訪問時)、そんな中
孤児であるが故に、地雷探知機を持たない人達の先に歩かせられた子供達。
アフリカに住みながら、アフリカにはどんな動物がいるのかを知らない子供達。
子供達への配給食料品の不足の為、体重が標準の7割はあるからと、配給から
はずされた子供達。
ウガンダで139人の女子学生が反政府組織に誘拐された事件は、日本でも大
きく報道されたが、それは氷山の一角で、現実はもっと悲惨なものだった。
発電所の9割が破壊された為、現在もスラム状態の国や、大旱魃で砂漠化が
進む中、動物が食べると死んでしまう木だけが青々と繁殖している地。
「いま地獄に悪魔はいない。みんなルワンダに来たから。」と語った牧師。
もし地獄が存在するなら、それは本当にこの地球上にあるのかも知れない。
2004年にインド洋大津波が発生した、その2か月後の訪問報告もある。
死者行方不明者合わせて44万人。ここでも犠牲者の半数は子供だった。
親善大使としての著者の口座には、この34年で58億円の寄付が寄せられ、
1円の事務費も貰わず、それは全てニューヨークの本部に送られているそうだ。
地雷除去車を開発した山梨の㈱日建の社長の記事もネットで読んだが、
日本にこのような会社があるのは嬉しい驚きだった。