ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

マネーロンダリング入門 橘玲 (幻冬舎新書)

「内容」

マネーロンダリングとは何か、どのようなことが行われるのかを、豊富な

具体例をあげて解説。 副題は「国際金融詐欺からテロ資金まで」

 「感想」

マネーロンダリングとは、犯罪によって得たお金を、海外の金融機関を利用して

摘発を逃れる行為で、著者はこれを「グローバリゼ-ションと大衆化の、押しとど

めようのない巨大な変化の象徴」と言っている。

 

 本書では、国内はカシオ詐欺事件や村上ファンド事件を始め、海外は偽札事件や

国際商業信用銀行の実態まで、現場ではその時に何が起きていたかを、初心者

にも分かり易く解説されている。

 

 情報量の多さと詳しさに、「隠匿行為の筈が何故ここまでバレるんだ?」

と思ったが、当然これらは氷山の一角で、とにかくやり方が巧妙。

 

 どの事件も驚くような内容だったが、特に印象に残ったのがバチカンだ。

 

バチカンが、マネーロンダリングで得た利益で反共組織を秘かに支援している

ことや、マフィアも関係しているらしいことは ずっと以前から言われていた。

しかし本書で、それに絡んで多くの重要人物が殺された経緯を読んだ時は、

やはり小説や映画より、現実世界の方がよほど恐ろしいと感じた。

 

 「2001年の9.11同時多発テロ以降、いまやどの金融機関も、守秘義務

盾に犯罪資金を隠匿することは許されない。」とあり、

ネットで警察庁の発表を見てみたら、昨年日本国内で摘発されたマネーロ

ンダリングは511件で、実際これは過去最多だそうだ。

 

 それでも世界的にみると、日本国の対策は甘いと指摘されているそうで、

今問題になっているカジノが出来たら、今後更に大変なことになりそうだ。