「内容」
マネーロンダリングとは何か、どのようなことが行われるのかを、豊富な
具体例をあげて解説。 副題は「国際金融詐欺からテロ資金まで」
「感想」
マネーロンダリングとは、犯罪によって得たお金を、海外の金融機関を利用して
摘発を逃れる行為で、著者はこれを「グローバリゼ-ションと大衆化の、押しとど
めようのない巨大な変化の象徴」と言っている。
本書では、国内はカシオ詐欺事件や村上ファンド事件を始め、海外は偽札事件や
国際商業信用銀行の実態まで、現場ではその時に何が起きていたかを、初心者
にも分かり易く解説されている。
情報量の多さと詳しさに、「隠匿行為の筈が何故ここまでバレるんだ?」
と思ったが、当然これらは氷山の一角で、とにかくやり方が巧妙。
どの事件も驚くような内容だったが、特に印象に残ったのがバチカンだ。
バチカンが、マネーロンダリングで得た利益で反共組織を秘かに支援している
ことや、マフィアも関係しているらしいことは ずっと以前から言われていた。
しかし本書で、それに絡んで多くの重要人物が殺された経緯を読んだ時は、
やはり小説や映画より、現実世界の方がよほど恐ろしいと感じた。
「2001年の9.11同時多発テロ以降、いまやどの金融機関も、守秘義務を
盾に犯罪資金を隠匿することは許されない。」とあり、
ネットで警察庁の発表を見てみたら、昨年日本国内で摘発されたマネーロ
ンダリングは511件で、実際これは過去最多だそうだ。
それでも世界的にみると、日本国の対策は甘いと指摘されているそうで、
今問題になっているカジノが出来たら、今後更に大変なことになりそうだ。