「内容」
副題は「100社を経験した派遣社員の会社観察記」で、正にそのままの内容。
「感想」
市原悦子主演のテレビドラマ「家政婦は見た!」を思い出させるような題名にふさ
わしく、様々な会社のエピソードが、明るいタッチで綴られている。
外資系や古い体質の日本企業の実態、派遣で働くことのメリットとデメリット、派遣
先にいち早く溶け込む方法、トラブルから自分を護る方法、等々
派遣の仕事に就きたいと考えている人には、参考になりそうな話が盛り沢山だ。
とにかく派遣をポジティブに捉えている人で、中でも 「仕事に不満を持ってしまうこ
との無いよう-(略)-派遣としての契約を結んだからこそ、そこの職場で働いてる今が
あることを お忘れなく。」という言葉には、 (確かにその通りなのだが)
「まさか、非正規雇用を推進して来た経済連の関係者?」と思ってしまった(笑)。
しかし最後の最後に、「派遣社員の労働現場とは、このような社会のゆがんだ部分
が垣間見える場所でもある。その背景にあるのは、どんなに努力しても待遇も給料
もほとんど上がらない、ハケン社員の制度のあり方そのものにあると思う。」と、現実
を見据えた意見が述べられている。
それにしても、著者が派遣で働いた会社は100社以上というのだから凄い。
仕事の分野は同じでも、派遣先が変わる度に新たに覚えなければならない事が色々
あった筈で、大変なバイタリティーの持ち主だ。
本書は「派遣切り」が社会問題化したリーマンショックの前に出版されたもので、最近
では2018年の「雇止め問題」などもあり、派遣業界は以前とは大きく変わっている。
著者が今、派遣について書くとしたら、どんな内容になるだろう。