ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

猫の殺気

 

 

当時私は、1日に30分程飼い猫を外で遊ばせていた。(現在は完全室内飼い)

 

その日も昼頃にナナ(小柄な婆ちゃん猫)にせがまれて、玄関のドアを

開けたのだが、外を見た瞬間私は立ちすくんでしまった。

景色が一面 薄く青みがかっていたのだ。しかも温かく穏やかな天気なのに

空気がシンと冷たい。近隣の家の息吹も、全く感じられなかった。

 

 

最初は体に突然不具合が生じたのかと思ったが、どうも違うようだ。

不安を感じた私はすぐにナナを抱え上げ、これはいったいどうしたことかと辺り

を見回したら、物陰から鋭い目でこちらを見つめている大柄な猫と目が合った。

 

 

それは近所の若い飼猫(♂)で、以前ナナを追いかけまわして、腰に10針も

縫う大怪我をさせた奴だった。

それ以来、ナナが外に出る時は必ずそばに付いていたのだが、隙あらばと

ずっと狙っていたのだろう。私は慌てて玄関のドアを閉めた。

 

 

時代劇などでよく武士が殺気を感じるシーンがあるが、私はそれを、神経を研

ぎ澄ませていると気配を察知出来るようになるのだな、と思って見ていた。

 

 

しかし殺気というのはどうやら、漠然と感じる“気配”とは別モノのようだ。

証明出来ないのが残念だが、あんがい「気」を扱う専門家から見たら不思議

でも何でもない現象なのかもしれない。

 

 

いずれにせよ、猫でさえあそこまで空気を変えてしまうのならば、人間の

殺気とはどれ程のものかと思った。