ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

放置子

昔は放置子なんて言葉は無かったが、放ったらかしにされている子は居た。

 

 

私が20代半ばの時のことだ。

近所に顔も服も見るからに薄汚れていて、日中一人でブラブラしている

男の子(A)がいた。年齢はまだ5歳で、両親は共働き。

1の兄は普通に小ぎれいで、学校にもきちんと通っていた。

 

 

親はA君に昼食を用意していかず、小銭も与えていないため、兄が毎日給食

のパンを残してきて、ランドセルを背負ったままそれを食べさせていた。

 

 

ある時私はA君にせがまれて、()夫と一緒に彼を近所の公園に連れてった。

ベンチで元気に遊ぶ姿を眺めていたら、通りかかった年配の男性に突然、

「親ばっかりそんなキレイな恰好をして!」と吐き捨てるように言われた。

 

 

今迄はためらっていたが、数日後思い切ってA君をお風呂に入れてあげた。

親から苦情が来るかと思ったが、気付きもしなかったのか、何も無かった。

 

 

ある日、A君の家の玄関が開いていて、部屋が丸見えになっていた。

足の踏み場もない散らかりぶりに唖然としたが、もっと驚いたのが、家の前に

居た母親が、普通の優しいお母さんにしか見えなかったことだ(私とは初対面)

隣人が私に、「あれで公務員なんだよ!」と母親を睨みつけながら耳打ちした。

 

 

程なくして私は引っ越したのでA君のその後は知らないが、1年生になって、

お兄ちゃんと学校の給食と、近所の人の見守りで逞しく成長したと信じたい。