明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
この絵は庭のサザンカで、雪の白さに
真紅の花が映えてとても奇麗です。
[内容]
組織に翻弄された3人の男女の、愛と悲劇の物語。
(2004年 製作国 中国)映画賞受賞
[感想]
武侠映画としても恋愛映画としても人気の大ヒット作品。
時代は9世紀半ばの中国。朝廷は都の安全を脅かす反乱軍“飛刀門”を撲滅せん
として、死闘が続いていた。そんな時、2人の役人リウとジン隊長に「飛刀門
の新頭目を10日以内に殺せ。」という命令が下された。
遊郭の一番の売れっ子シャオメイが飛刀門の一味らしいということで、ジンが客
に成りすまして遊郭を訪れる。ここで盲目のシャオメイが踊りを披露するのだが、
「英雄HERО」の時と同様、ワダエミの意匠を凝らした衣装が美しい。
シャオメイ役のチャン・ツィイーの美しさも、彼女の出演作の中ではダントツだ。
ジンがわざと酔って騒ぎ、リウと剣を交えたシャオメイが捕らえられ、更にジンが
彼女を助けて2人の逃避行が始まる。…と、ここまでは、全て役人たちの筋書き
通り。しかし、林の中で2人が協力して追手達を次々と倒していくのも演技の筈
が、何か様子がおかしい。
事態は二転三転し、ジンは飛刀門のアジトで捕らえられて、騙されていたのは
自分の方だったと気付く。しかしシャオメイがジンを好きになってしまったこと
から、その後思いもよらない展開となり、シャオメイ、ジン、リウの3人に悲劇
が訪れる。シャオメイがリウに見せた最後の思いやりが、悲しくも少し救いだ。
悲恋も切ないが、朝廷も反乱軍も家来や手下のことは手駒としか考えておらず、
戦う兵士達を見ていて、そちらにも悲哀を感じずにはいられなかった。
ラストのクライマックスで、広大な山の景色が緑から紅葉になり、最後には銀世界
へと移り行く様が一際美しくて見惚れた。
社会保険庁が2010年に日本年金機構としてスタートする前のこと。
元夫の立ち上げた会社で何人か従業員を雇用し、社会保険業務は経理の私が
していた。
社会保険事務所(現在は年金事務所)は年に一度、小・零細企業の中から無作
為に選び出した会社の担当者を呼び、その年に提出された書類を目の前で
チェックしていたのだが、何故かうちの会社は毎年呼び出されていた。
何か言われたわけでは無いが、信用されてないのかなと気になった。
それで4年目の時に、書類のチェックを終えた担当者に、単刀直入に聞いてみ
た。「無作為に選び出すという事ですが、うちは毎年呼ばれています。一度も
間違えたことが無いのに毎年調べられるのは、うちが同族会社で労務士さんに
も任せていないからでしょうか?」
出来るだけ穏やかに話したのだが、目の前の担当者だけではなく、別の会社の
相手をしていた両隣の人の顔まで強張った。私は口にしてはいけないことを
言ってしまったのか? しかし翌年からは全く呼ばれなくなった。
厳しいのかズサンなのか分からないな…なんて思っていたら、2007年に
「宙に浮いた年金記録」問題が発生して驚いた。
※年金記録問題 = 社会保険庁のズサンな管理で、基礎年金番号に統合・整理
されていない年金記録が5000万件余りに達していたことが発覚。
現在は「ねんきん定期便」が郵送されるようになったが、通知書にも書かれて
いるように、「もれ」「誤り」のチェックはしておいた方が良いと思う。
★『くずかごに頭を』(いたざわ しじま) 集英社
[内容]
1匹の子猫と、子猫を拾って家族にしてくれたママの物語。
[感想]
YouTubeの動画が評判となり、小さな絵本となったもの。
シンプルな絵が可愛い。
優しいママと、いつの間にかいなくなった女の子。
病気で体がきつくても、大好きなママが元気になることばかり考えている猫。
可愛くて楽しくてクスッと笑いたいんだけど、でも涙が止まらなくて、
とっても愛おしい物語。
[内容]
人々に恐れられ嫌われていた龍が、一人の少年の優しさに心打たれて自分を
変える話。
[感想]
舞台は昔の中国。
人々は山奥に棲む龍のことを、見たこともないのに「龍はいたずらっ子や悪
い子を狙っている。」と脅しの材料に使っていた。
そんな龍を可哀想に思い、幼い少年がたった一人で山奥まで会いに行く。
少年の勇気と優しさに触れた龍の涙が胸にしみる。
いわさきちひろの絵が素敵で、時々眺めて楽しんでいる。
[内容]
原作は文学賞を受賞した同名の時代小説で、日本独自の暦の創始者安井算哲
(渋川春海)の物語。 (2012年 製作国日本)
[感想]
江戸時代前期、安井算哲は将軍に囲碁を教える役職に就いていた。
しかし囲碁よりも星の観測と算術に熱中しており、そんな算哲に幕府の事業
として「日本各地の北極星の位置を確認せよ」という任が下る。
当時用いていた暦は、800年前に唐から伝わったもので、誤差が生じていた。
任を受けた算哲は御用頭取らと共に、北極星を観測し地理を測量する旅に出
る。厳しい旅だがこの北極出地の一行の面々がユーモラスで、映画の観客を
時々笑わせてくれる。
次に改暦の為の調査が必要になるのだが、暦の利権を独占していた公家に
妨害されて算哲は苦境に陥る。しかしある和算家の協力により、地球儀と新
しい暦を完成させることが出来て喜びに浸るが、それも束の間。どうしても
日食の日だけは正しく当てることが出来ない。
その後、時差を正すことに成功した算哲は、最後には公家相手に切腹覚悟で
勝負に出、予測通りに日食が起きて改暦が認められことになる。一緒に固唾を
のんで見守り、結果を喜んでくれた人達の応援が嬉しい。
困難な状況の中、地道な努力を重ねる男達の姿を描いた良作で、後に妻とな
る女性や、算哲を支援する人達も皆素晴らしかった。
他にも、囲碁の名人・本因坊道策や、和算家の関孝和との数学の設問のやりと
り、江戸時代の天文道具やカラクリなど、面白い場面がたくさんある。
私が十代前半の時、父の同級生が列車事故で亡くなった。私も顔を知ってる
人で、両親の会話を驚いて聞いていたのだが、父の次の言葉にもっと驚いた。
「ほたるを養子に出してたら、あいつは死んでなかったかも知れないなあ。」
この男性には子供がなく、ある時まだ幼児だった私を養子にくれと言われた
そうで、父はそれを冗談だと思って笑いながら「おう、いいぞ。」と答えて
しまった。後日背広を着て正式に挨拶に来た男性に、父は驚いて畳に手をつ
いて謝ったそうだ。
昔は子供のいない夫婦は養子を迎えることが多かった。しかし今は養子を育
てるよりも、不妊治療で子供を持つ人が増えた。
先日厚生労働省より、不妊治療費用助成制度の変更の発表があった。
助成額の引き上と、所得制限の撤廃。事実婚のカップルも対象になるという。
朗報ではあるが、これですべて解決と手放しで喜べる人ばかりではない。
実は日本の場合、外国に比べて不妊治療の成功率は意外と低いのだそうだ。
我が子がまだ小学生の時のこと。同じ校区に養護施設があり、夏冬休みは一般
家庭への一時預かりが行われていた。ある年、私も申し込んだところ「子供達
の気持ちを考えて、顔見知りのいる同じ校区のお宅はお断りしてるんですよ。」
と、申し訳なさそうに言われた。そして、出来れば施設ではなくきちんとした
家庭でずっと暮らさせてあげたい、というようなことも色々話してくれた。
日本は外国に比べて養子縁組数が非常に少なく、もっと養子縁組制度や里親制
度に目を向けてほしいと願う声は今も変わらない。ちなみに“養育里親”の場合
は国から経済的な支援があり、短期委託も可能だそうだ。
※養育里親=子供を一定期間預かり育てることで、親子関係は生まれない。