ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

死んだふり

昨年、飼猫のヤムチャがまだ元気だった時のこと。中庭に敷かれた板をじーっ

と見つめていたので、何か居るのかと三男が調べたところ、板の隙間から顔を出

した蛇が大きな口を開けて死んでいるのを見つけた。

しかし、実はそれは擬死で、よそ見をしてる隙にどこかへ逃げて行ったという。

※擬死= 生き残る為に死んだふりをすること。擬死をする生き物は多い。

       

話は飛ぶが、人は年齢に関係なく「結果を残せなかった」「主流派から外れて冷

や飯組に落ちた」「大きな失敗をしてしまった」…など、様々な理由で「終わった

(詰んだ)」と心折れる状況に追い込まれることがある。

 

しかし落ち込んでいるだけでは、何も変わらない。周りが「あいつは終わった」

と思うのなら、悔しいけど開き直って死んだふりをして、黙々と必要な事を積み

上げていくことだ。自然界の生物の擬死も、正に生き残る為の策なのだから。

 

それを継続させるための基本は、ありきたりだが十分な睡眠と、散歩などで体を

動かすことだという。ネットを見ると、その他にも専門家が色々なアドバイス

してくれている。


ちなみに1人静かに“内観”するのは、落ち込んでいる時にすると狭い所を低迷す

るだけになりがちなので、私はそういう時はむしろ外に出て何か行動するように

していた。

 

以下は私が二十歳の時の小さな体験だ。

就職して数か月後、同期入社した女性達の配属場所が決まった時に、1人だけ雑用

係のような立場になった人が居た。彼女が劣っていたというわけではなく、お昼休

みには彼女も一緒に、喋って笑って楽しく過ごしていた。

 

それから1年程経ったある日、朝礼の時に係長から彼女の配置換えの通知があった。

当時はパソコンは勿論ワープロさえ無い時代だったのだが、彼女はいつの間にか

夜間のタイピスト養成教室に通って、タイプライターの資格を取っていたのだ。

 

私達ランチ仲間は、彼女がその事をひと言も話さずにいた事に、小さなショックを

受けた。中には「抜け駆けした」などと言う人もおり、私も「皆で習い事の話もし

てたのに、どうして隠してたんだろう。」と思った。

 

でもその時に初めて気付いた。隠すも何も彼女には私達に報告する義務など無く、

同期はライバルでもあるということ。いつまでも“女の子”気分でいてはいけないと

いうこと。そして、人は順風満帆よりも悔しい経験をした人の方が、逞しく成長

するということを。

カルガモの親子(色鉛筆・パステル画)

近所の小川でカルガモの迷子雛が、大人のカモからしつこく

追い回され、頭を突かれていました。(殺すこともあるとか)

 

人間は自然界の掟に介入してはいけないと言うが、ここは

ジャングルではない。急いで家にタモ網を取りに帰り、最悪

雛をすくい上げることも視野にいれて救助に挑戦。

 

約10分後に、家族と合流することが出来てホッとしていた

ら、目を丸くして見ていたご近所さんに、「ほたるさんらし

いわ~。」と何故か爆笑されてしまいました(笑)。

読書感想『英語化は愚民化』(施 光恒)

[内容]

英語を日本の標準語にすると何が駄目になるのか、世界の歴史と現状を多くの

例と識者の意見を挙げながら解説。副題『英語教育改革で自ら“後進国”に』

[感想]

著者は政治学者。九州大学大学院教授。

 

何年か前に楽天が英語の社内公用語化を宣言し、その後同じような会社が続出。

学校の英語教育も大幅に改定された。全ては未来を見据えての決定だというが、

一介の老人にすぎない私ですら、この流れにはどこか選民意識に近い排他的な

ものが潜んでいるのが感じられ、この国の将来が心配になった。

 

私の、その不安の正体を解明してくれたのが本書で、特に下記は重要だと思う。

(英語化は)「ごく一握りのエリートが経済的にも知的にも特権を握り、それ以外

の大多数の人々は、社会の中心から締め出され、自信を喪失してしまう世界にほ

かならない。」

 

著者自身は語学に堪能で、英語教育を否定するものではなく、とどのつまりこれ

らの改革の目的は、グローバル企業が日本で商売しやすくするためであると警鐘

を鳴らしている。

 

中世ヨーロッパは格差社会で、「ヨーロッパの共通語であるラテン語を使いこなし

て知的活動を行い、政治的・経済的な権力も保持する一部のエリート達」と、

「土着語(母語)で会話をし、聖書さえ自分では読めず、身の回りのことだけを考え

て暮らすその他大勢の庶民」に二分されていた。

 

しかし16世紀前半に起きた宗教改革で、ドイツを始め各国で聖書がその国の言葉に

翻訳されたことにより、ラテン語を理解する人達と、無知無学だった庶民の格差が大

幅に縮小されていき近代化に拍車がかかったという。

 

著者は、日本社会の良さの一つとして“知的レベルの高い中間層の存在”を挙げ、

今の日本は正に上記の時代に逆行しようとしており、そうなれば英語を理解しない

人達は社会のあらゆる面で不利益を被ることになり、中間層は没落すると警告。

 

以下に本書の一部を要約。

 

・明治以来日本は、欧米の言語を翻訳して、日本語で世界水準の思考を可能にし

 た。高度に知的な作業を行う環境が整っていたからこそ、製造業も発展し得た。

 

・アフリカやインドでは高度な知識は英語で学ぶしかなく、大多数の人は国を動

 かすことに参加できず、「格差」社会になっている。

 

・英語偏重の教育改革は、世界の「英語支配の序列構造」の中で、日本が非常に

 不利な立場(搾取される立場)に置かれるのは必至。

 

・英語を公用語にした会社は、仕事の能力以前に言語でふるいにかけられる。

 

・大学の授業が英語化されると、学生たちは専門科目だけでなく、英語を身に付

 けるために莫大な時間と動力が費やされ、潜在能力を発揮できるに至らない。

 

この他、「スーパーグローバル大学創成支援制度」の始動、地域的に限定した特区

の設定、TOEFLの利用等々、英語の公用化に関する様々な解説が続く。

 

しかし、英語は既に世界の共通語となっている。この現実を見ると、果たしてこの

流れを止めることは出来るのだろうか。結果が出る頃には私(75才)は生きていない

と思うが、子や孫の世代のことを考えると他人ごととは思えない。

 

空き巣に入られない為に

私が高校生の時のこと。夜8時頃家族全員が居間に居る時に、路地裏に面した

部屋の窓から泥棒が侵入して、一部屋だけグチャグチャに荒らしていった。

 

通報でやって来た警察の人が、畳にくっきり残された靴跡を見て、もう1人の

人に「あ~、こりゃあケンちゃんだな。」と言った。その様子を眺めていた私は、

部屋の散らかり具合よりも、そちらの方に驚いた。

 

後日母が、捕まったのは中学生の男の子で、空き巣の常習犯だと教えてくれた。

※住人が在宅中の窃盗は“居空き”と言われる。

 

泥棒の被害で一番怖いのは、犯人と鉢合わせすることだ。驚いて逃走してくれれ

ばいいが、開き直った犯人に危害を加えられることも珍しくない。

 

もう一つ空き巣で心配なのは、留守番のペットの安全だ。昔歌手の松任谷由実

んの飼い犬が襲撃された時は本当に可哀そうだったし、ゾッとした。

犬が防犯に役立つことは多いようだが、犬種や性格にもよるそうで、何よりも犯

人が残忍な人間だったら襲撃を防ぐのは難しい。

 

空き巣の侵入経路としては、鍵のかかっていない玄関や窓が多いので、戸締りを

しっかりすること。2階の窓やベランダからの侵入は特に多いそうなので、庭に

足場になるような物は置かないことも大事だという。

 

あと集合住宅の一人暮らしの女性は他の目的でも狙われやすいので、戸締りは勿論

のこと、表札は名字だけにするなどの工夫も必要だとか。

 

ところで、空き巣の半分は下見をしているそうで、留守にしている時間帯などを

表札やメーターボックスなどの目立たない箇所に、チョークなどでマーキングして

いくことも多いそうだ。

 

防犯カメラやセンサーライトなど、防犯対策として効果があるものは色々あり、

そこまで用意出来ない場合でも、「窓の補助錠」「防犯ブザー」「ピッキングが出

来ない鍵」など、小さくとも役立つものは沢山あるので、検討してみるのも良い

かもしれない。

 

うちは全部ペアガラスなので、それも少しは役立っているかと思ったが、本格的

に防犯したい場合は“防犯ペアガラス”を使った方が良いそうだ。

 

いずれにせよ、戸締りをしっかりするのが基本中の基本。私は数年前から、外出時

と就寝前には声を出して指差し確認をするのを習慣にしている。

「ガス、よし。」「ストーブ、よし。」「カギ、よし。」(ペットの確認も忘れずに)

瀬織津姫(色鉛筆・パステル画)

瀬織津姫は、神道の祭祀で唱えられる大祓詞

登場する神様で、全国で祀られています。

 

真言は「オンハルヒソワカ

全ての罪や穢れを洗い流し、魂の持つ力を高め、

魂を浄化する効果があると言われます。

 

自分で唱える時は心を集中して、この言葉を

3回以上繰り返すのが良いそうです。

読書感想『裁判官の爆笑お言葉集』(長嶺超輝)

[内容]

法廷で語られた裁判官の名言とコラムの特集。

[感想]

著者はフリーランスライター、商業出版コンサルタント

 

本書の帯に「42万部突破のロングセラー」と書かれている。しかし題名と中身

が違い過ぎて、売れればいいってもんじゃないでしょ…と思ってしまった。ちな

みに多くの本がそうであるように、本書も出版社によってつけられた題名らしい。

 

ともあれ真面目に書かれた本で、裁判の内容は其々1頁にまとめられていて読み

易い。裁判に関するミニ知識的なコラムも面白く、裁判官の言葉には考えさせら

れるものが多かった。

 

本書で最初に取り上げられていたのは、殺人を犯した少年に裁判官が、さだまさし

の唄「償い」を引き合いに出して諭した言葉だ。(当時メディアでも話題になった)

 

「君たちは、さだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか。この

 唄の、せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君たちの反省の弁が、人の心を打たな

 いか分かるだろう。」 

 

当たり前だが裁判官も人の子。各々に個性があり、言葉に人間性が垣間見える。

本書はマスコミで報じられた事件の他、著者が裁判を傍聴した時に印象深かった

言葉が取り上げられており、中には笑えるものもあるが、全て現実に起きた事件

を扱っているので、胸にズシンとくるものが多かった。

 

その中から印象深かったものを3つ抜粋。

 

「暴走族は、暴力団の少年部だ。犬のうんこですら肥料になるのに、君たちは何

 の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか。」

暴走族を抜けようとした少年を、集団暴行で殺害した事件。著者は裁判官のこの

発言を、批判覚悟の言葉だったと推測している。

 

「これはいわば、水咲ちゃんが与える罰です。」

両親が2歳の我が子を虐待死させた事件。著者の「ここでもまた、児童相談所

が関与していたのになぜ…。」の言葉には、同じ思いを持った人が多いと思う。

 

「君の今後の生き方は、亡くなった3人の6つの目が、厳しく見守っている。」

医師が妻と2人の幼い我が子を身勝手な理由で殺して、運河に沈めた事件。

 

その他著者の解説にも「交通死亡事故の遺族は、その悲劇に泣かされた後、加害者

に科せられる刑事罰の軽さにも泣かされると言います。」など、胸に刺さり考えさ

せられるものが多かった。

 同じ薬を何十年も服用し続ける不安

 20年前のある夜のこと。テレビを見ていたら突然片方の鼻から、鉛筆の芯より

少し細いくらいの鼻血がス~ッと流れ出てきて、何をどうしても止まらない。

 

2時間様子を見たが、これはおかしいという事で夜間救急の当番病院に連れて行

ってもらった。そこで血圧を計ったところ190もあったため、血圧を下げる注射

の後、すぐに医者から言われた指定の総合病院に向かった。

 

ところが、30分後に病院に着いて診察台に横になった途端に、気が遠くなった。

医者が「〇〇さ~ん」と私の名を呼びながら何度か私の頬を叩き、看護師さんが

「血圧50」とか言っているのが聞こえた。

 

どうやら先程の病院での注射が強過ぎたらしい。幸い適切な処置をしてもらって

意識が戻り、一晩入院しただけで家に帰ることが出来たが、動脈硬化も進んでい

るということで、この日から近所の内科で降圧剤をもらうことになった。

 

しかし時々、この薬の服用に迷うことがある。真夏は薬を飲まなくとも理想血圧

まで下がることがあり、逆に冬の寒い時期には薬を飲んでいても170前後まで

上がることも多い。

 

高齢者の血圧は140‐90を超えたら要注意と言われるが、本来老人の血圧は少し

高めで、しかも降圧目標は以前より低く設定されている。

その後脳梗塞を発症したこともあって、現在私は1日に4種類の薬を服用している

のだが、ここ何年か体調を崩すことが多くなった。

 

それは加齢のせいだけではなく、何年も同じ薬を飲み続けていることも関係してい

るのでは?と思い、調べてみたところ「高齢者は生理機能が低下しているので

若い頃と比べて副作用が出やすくなることがある。」と書かれていた。

 

しかし又脳梗塞を起こすのが心配なのと、胃食道逆流症の薬などは飲み忘れると

すぐに症状が出ることもあり、今すぐ薬をやめる勇気は無い。

 

よく「薬を飲み忘れるのは元気な証拠」などと言われるが、こうしてみると老人が

時々薬を飲み忘れることがあるのは、老化による不注意だけではなく、案外無意識

に不安の気持ちが作用していることがあるのかも知れない。